安定感のある成績と、前哨戦である阪神大賞典での完勝により、3番人気で迎えた春の天皇賞。直線窮屈になる場面があり、完全に脚を余した状態での僅差3着は、シュヴァルグランのこれ以降のGⅠ戦線での活躍を予感させるものだった。
しかしながら、期待された宝塚記念では全く見せ場すらなく完敗。1度態勢を立て直すべく夏を休養に当てたが、休み明けのひと叩きとして予定していた京都大賞典へは、若干疲れが残っていたため回避し、アルゼンチン共和国杯からのスタートとなった。
しかし、そのレースでは休み明けを感じさせないような、トップハンデの58kgで好位から危なげない勝利。目標となるジャパンカップに向けて絶好の秋初戦となった。
脂の乗った魅力的な血統
シュヴァルグランの血統を見れば、父ハーツクライは長距離実績もあり、ジャパンカップでもレコードの2着と、このレースには絶好である。母もヴィルシーナ、ヴィブロスの2頭のGⅠ馬の母である名牝ハルーワスウィートと、ここで勝っても全く不思議のないどころか、勢いで見れば最有力とも言える血統背景がある。
初の輸送と東京コースも前走で克服しており、そのような不安も既に解消していることは特筆できよう。
ジャパンカップの施行距離2400mもこれまでに4戦3勝2着1回と得意中の得意な距離である。また、東京コースはスタート直後に坂があるため2400m以上にタフなコースと言われ、前走で2500mを経験した意義も大きい。阪神大賞典、春の天皇賞で実績を残しておりスタミナには折り紙付き。
今回のジャパンカップには福永祐一騎手が主戦を取っているリアルスティール、レインボーラインも他の騎手を乗せて出走してくる。上位人気の実績馬リアルスティールに、菊花賞2着と勢いに乗っているレインボーラインではなく、シュヴァルグランにのる福永祐一騎手。秋華賞で妹ヴィブロスを導いたその手で、満を持してシュヴァルグランもいざGⅠ獲得のとき。