馬券が的中しても、喜べない時はある

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競馬で見事に予想が的中した時、馬券を買っている人からしたら喜ぶ材料はあっても悔いる材料は当然ないでしょう。予想が当りお金が増えるのでから喜ぶのが普通です。むしろこれが競馬の一番の醍醐味と言ってもいいでしょう。

しかし、馬券が的中してもどうしても喜べない時というのもあります。それは競走中止(故障)がらみの時です。

もう20年以上昔の話になりますが、私が競馬場に初めて行った時の話になります。まさか初めて競馬場へ行った日に、その思いを体験する事になるとは当時夢にも思いませんでした・・・。

それは忘れもしない1995年の宝塚記念当日。私は職場の先輩達と朝から東京競馬場に来ておりました。競馬場に来たのはこの日が初めてです。競馬場ってこんなに大きいのか、と驚いたのを覚えております。何せ初めての競馬場ですから、全てに興味深々です。

幾ら競馬場にお金を持って行っていいのかも分からず、一応前の日に競馬新聞を買ってはみたものの、印がたくさんついている馬が人気がある馬なのは何となくわかりましたが、専門用語が多く分からないことだらけでした。

1日で12レース行われる事はわかったので、1レース2,000円で24,000円と、宝塚記念に5,000円の合計29,000円で、きりがよく30,000円を軍資金として食事代とは別に持っていきました。ほぼビキナーズラックでほどよく的中して迎えた宝塚記念。場所は東京競馬場ですから宝塚記念はスクリーンで見ておりました。いよいよレースが始まり馬券を握りしめて観戦していると、なんとライスシャワーが故障。鞍上の的場均騎手は前へ投げ出されて落馬しました。

そのままレースは進み、勝ち馬のダンツシアトルから買っていた私の馬券は結果的にプラスとなったのですが、3コーナーの下りでライスシャワーが崩れ落ちたシーンが頭から離れず、喜びだけでは終わらず、何とも不思議な気持ちになりました。

最終レースを終え帰路につくときに、ライスシャワーが予後不良になった事を知りました。競馬初心者だった当時の私に、このライスシャワーという馬がどれだけ偉大な馬であったかを知る由もありませんでした。クラシックではライバルのミホノブルボンと激戦を繰り広げ菊花賞制覇、翌年天皇賞・春ではメジロマックイーンの3連覇を阻止して優勝、骨折やスランプの壁を乗り越え天皇賞・春の舞台で再度復活・・・。この宝塚記念に出走するまで数々のドラマがあったことを知ったのは少し後のことでした。

名馬ライスシャワーについて語り始めると長くなってしまいますので割愛いたしますが、落馬一つで競走馬が亡くなってしまうという現実を知ったのもこの日初めて学んだことでした。無事であれば本当によかったのですが、私の初めての宝塚記念は馬券的にはプラスも、万々歳とはいかない結果となったのでした。