【天皇賞秋2015予想】エイシンヒカリは天皇賞(秋)でも逃げきれるのか?
10月11日(日)東京競馬場にて開催された「第66回毎日王冠」(G2)は単勝1番人気のエイシンヒカリ(牡4)が見事な逃げ切りで勝利した。
鞍上は10月3日のシリウスSを制して通算重賞勝利数300勝を達成したばかりの武豊騎手で、先週に引き続き重賞を連勝してさっそく301勝目を達成した。「毎日王冠」「逃げ馬」「武豊」と聞くとどうしても"歴代最強の逃げ馬"と言われる名馬・サイレンススズカを思い浮かべてしまう。実際にこれまでの逃げっぷりと鞍上が武豊騎手ということでレース前から"サイレンススズカの再来"と囁かれており、レース当日も1番人気に推される人気ぶり。そして結果はかつての名馬の勝利をなぞるかのような鮮やかな逃げ切り勝ちで見事に重賞2勝目を飾ったのだ。
エイシンヒカリはこの後順調にいけば天皇賞秋へ向かう予定である。1998年、毎日王冠を制したサイレンススズカもその後天皇賞秋へと進んだ。レース当日も勢い良くハナをきって逃げるも、レース中に故障してしまい競争中止となり、そのまま予後不良となってしまった。これまでの逃げ切り勝ちによる活躍ぶりや大舞台での故障から"悲劇の逃げ馬"としても知られることとなった。
筆者は決して天皇賞秋での故障の不安やジンクスなどを謳いたいのではない。上記のように同じ逃げ馬で、同じ騎手、同じローテーションということでエイシンヒカリはかつての名馬と比較されがちだが、この馬はサイレンススズカと血統も違えばデビューからこれまでのプロセスも全く違う馬である。同じ逃げ馬だが走るペースも違うし、おそらく馬の性格も違うだろう。この馬を応援するなら、サイレンススズカではなくてきちんと"エイシンヒカリ"を応援したい。
ただ、天皇賞秋で故障してしまった名馬のことを想うと、タイプは全く違えどエイシンヒカリが天皇賞秋で優勝したらやっぱり「サイレンススズカが達成できなかったレースを代わりに勝ってくれた」とどこかで思ってしまって感動的ではあるのかもしれない。
トライアルの毎日王冠では結果的に楽に逃げれたが、本番の天皇賞秋ではそう簡単にはいかないだろう。毎年先行争いが激化しやすい天皇賞秋ではペースが緩くなることも稀だし、今回はマークも厳しく後ろが黙っていないだろう。逆にハイペースで大逃げをかまして序盤の貯金でそのままゴールでもできれば良いが、距離延長にメンバー強化という中でそのような強気の競馬をするのも大きな掛けである。条件的には厳しくなること間違いなしの本番で、エイシンヒカリと武豊コンビは一体どんなパフォーマンスを見せるのか。かつての名馬の走りがチラつくだけに、非常に興味深い見どころとなりそうだ。