今後乗り替わりなしで走り抜ける名馬は生まれるだろうか?
デビューから引退まで乗り替わることなく騎乗しつづけるというのは難しいものです。オルフェーヴルも国内では全て池添騎手が騎乗出来ましたが、凱旋門賞出走に伴う遠征では4走ともにスミヨン騎手が手綱を取りました。これが特例ということもなく、海外遠征ではキャリアがある外国人騎手に依頼をする傾向があり、今月のドバイでもその流れを汲む陣営が多そうです。
かと言って、海外遠征が無くとも安心していられないのが名馬に跨る騎手の定め。武豊TVでお正月に組まれる名物企画の「ジョッキー新年会」に今年はデムーロ、和田騎手が登場しました。昨年はモズカッチャンが和田騎手からデムーロ騎手に乗り替わりとなった直後のローズステークスで和田騎手騎乗のラビットランが優勝し、乗り替わりに否定的なファンも胸がすく思いだったのではないでしょうか。そういった流れから、全レース和田騎手で走り抜いたテイエムオペラオーの話になりましたが、実は菊花賞の敗戦後に武豊騎手の元へ乗り替わりの打診があったという発言が飛び出しました。
テイエムのオーナーはわりと我慢強い方ではないかと思いますが、当時皐月賞馬だったテイエムオペラオーが惜敗を続けていたことに我慢の限界が来ており、和田騎手も菊花賞後の乗り替わりは覚悟していたようでしたが、振り返ってみれば翌年は年間無敗で古馬王道を走りきる前人未到の大活躍に終わりました。
これは管理されていた岩元調教師が盾となり愛弟子を庇ったのだろうと語っていました。当然最終的な決定権はオーナーにあるため、馬主に楯突くということは最悪の場合は転厩までありえる、厩舎経営を考える以上は弟子のためとは言え、かなりのリスクを背負う行為でもあります。
馬主としても大金というリスクを掛けている以上、プロ相手とは言え意見することを責められるものでもありません。近年は当時よりも厩舎と所属騎手の師弟関係というのは希薄になっているように感じられる時代でもあり、騎手にとっても乗り替わりは仕方ないと思える風潮にもなってきているかもしれません。騎手も厩舎もオーナーから馬を預かって初めて成り立つ仕事だけに、岩本師のような選択肢をとるのは今後も一層難しくなっていくのではないでしょうか。