【きさらぎ賞2016回顧】サトノダイヤモンド、確かな底力を示しクラシックへ

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クラシックの登竜門「きさらぎ賞」(G3)はサトノダイヤモンドの圧勝で終わった。2着のレプランシュにつけた着差は3馬身半と、まさに強いの一言。

レースは1000メートル通過タイムが、59.8秒と平均ペースで流れた。サトノダイヤモンド自身にとっては、デビュー以来初となるミドルペースでの競馬でこの勝ち方ができたことは、クラシックに向けての視界は良好である。

前2走同様にこの日もスタートを綺麗に決めると、道中も折り合いがつき、馬自身が気持ちよく走っているように見えた。4コーナー付近から追い出されると、直線は、独走状態。デビュー以来初となるステッキを使ったということで注目を集めていたが、これは、この先のクラシックを見据えた上でのルメール騎手のファインプレーかもしれない。いざ、本番になって、ステッキを入れて馬がビックリして大斜行してしまうケースも考えられるため、本番前に一度、鞭を使ってほしかったというのが個人的な本音。

この日の、サトノダイヤモンドは、ペースも含めて過去2戦で経験したことがない競馬を試せたことが収穫である。後は、クラシック第1弾・皐月賞(G1)の紛れが生じやすいコース形態と18頭立ての多頭数の競馬をどう捌くかだけに注目が集まる。能力は、この世代ではトップクラスだけに、この点に注目してみたい。

古くはスペシャルウィークやタニノギムレットなどが、この皐月賞の多頭数とコース形態に泣き、大外を回らされて3着に敗れた過去もあるため、能力の高さだけでは勝てないのが、中山2000メートルの競馬である。最も、前目の良いポジションで競馬ができ、器用さも兼ね備えているサトノダイヤモンドにとっては関係のない話で終わる可能性もあることも強調しておきたい。

2着のレプランシュもやはり基本能力が高く、今年のクラシック戦線の物差し的な立場になりそうである。サトノダイヤモンド、ロイカバードを見ながらの道中で競馬をしやすかっただろう。直線、最も仕掛けを遅らせた馬であり、ロイカバードとの2着争いを制した。今年は異常なハイレベルなクラシック戦線となっているため、これならG1でもと、断言することはできないが、今後のクラシックトライアル戦線であれば追いかけていきたい馬である。

3着のロイカバードも100%、いや、200%の競馬をした。鞍上の武豊騎手は、恐らく、他の馬は眼中になかった。サトノダイヤモンドのすぐ後ろのポジションを選択し、サトノダイヤモンドが4コーナー付近から仕掛けていくと同時に仕掛けていった。明らかにサトノダイヤモンドを意識した競馬で、少し道中はムキになって走っている感じもあったが、直線はキッチリと自分の能力の高さを示している。

デビュー戦にサトノダイヤモンドにつけられた着差が2馬身半。今回は3馬身半になった。残念ながら、京都の外回り1800メートルでは、もう正攻法の競馬では勝てないことがわかったと同時に、クラシック戦線のトップクラスからの層からは1枚落ちる評価を付けるしかないだろう。

ただし、今後のトライアル戦線では、まだ主役級の活躍ができそうであり、個人的には、阪神などの急坂コースでの競馬も見てみたいものである。少し、気は早いが、春の京都新聞杯(G2)などで全力買いしてみたくなる馬である。

4着・ノガロも自身の持てる力を発揮した。自己条件に戻れば、主役である。

7着のロワアブソリューは口を割っての道中で、折り合い面がやはり課題。この馬も基本能力は高いため、今後はお行儀よく競馬ができるかがポイントとなってくるであろう。