【チューリップ賞2016回顧】打倒メジャーエンブレムが見えたかシンハライト!

桜花賞トライアルのチューリップ賞(G3)を制したのはシンハライト(牝3 栗東・石坂正厩舎)デビュー戦と紅梅ステークス(3歳牝OP)を連勝してきての、この日の競馬であり、これで3戦3勝となった。

チューリップ賞の前に行われた9レース・知里山特別(4歳以上1000万下・芝2000メートル)は、1:59.3で決着しており、今開催の阪神は非常に時計が出やすい馬場状態。先週もミッキーアイルが、阪急杯(G3)で1400メートル・1:19.9というハイレベルなタイムを叩き出している。

前半600メートル・34.6、800メートル・46.8の締まったペースを後方12番手の位置からの差し切り勝ちである。ペースが流れたのも、この馬には向いたが、それを差し引いても強い。

先週、3歳マイル重賞のアーリントンカップ(G3)の勝ちタイムは、1:34.1だった。そして、この日のチューリップ賞(G3)の時計は、1:32.8。道中のペースもほとんど同じ流れだったからシンハライトにとっては非常に価値のある1勝だ。

小柄な430キロ程度の馬体で、50キロ以上も体重差がある2着馬ジュエラーとの直線びっしりと叩きあった競馬はなかなか見応えがあった。根性がある牝馬である。

父・ディープインパクト、母父・シングスピールの血統は現時点では、稼ぎ頭が、コスモネモシンとローブティサージュ。牝馬向きの血統だけに今後も注目の存在だ。

2着・ジュエラーは498キロと牝馬とは思えないような立派な馬体でスケールの大きさという面に関しては、この日のメンバーでは一番感じた。道中は勝ったシンハライトと同じ後方の位置取り。面白いのが、この2頭、道中からゴールまでほぼ併せ馬の形になっていた。このレースの1番人気と2番人気の馬だからお互いかなり意識はしていたはず。

ジュエラーの鞍上・デムーロ騎手はシンハライトより前に行きたくなかったのか、シンハライトより前に出そうになると一生懸命なだめていた感じに見えた。直線も一度は先頭に立ちかけたが、この日は勝ち馬の根性が一枚上手だった。とりあえず、桜花賞(G1)の切符は手にした。後は、リベンジの日を待つのみである。

3着・ラベンダーヴァレイは上位2頭とは違い道中は先団の5番手の位置取り。折り合いは完璧だった。この日が3戦目の競馬で、前走は昨年11月の赤松賞(2歳牝500万)であり、馬体重は20キロも増えていた。直線のあまりの手応えの良さに正直驚いた。キャリアの少なさ、ローテーションの不利などを克服しての3着だけに将来性はこの馬も高い。わざわざ、戸崎騎手が東から騎乗しにきた理由がわかったような気がした。次走も期待大。

4着・クィーンズベストは男馬相手の中距離特別戦でも好走していた馬でオークス(G1)までは注目してみたい。

5着・デンコウアンジュは昨年のアルテミスステークス(G3)の勝ち馬で、阪神JF(G1)でも2番人気に支持された馬(結果は7着)。ほぼ、自分の力は出している。この馬も叩いた次走を見たい。

今年のチューリップ賞は人気馬が順当に1着、2着に入線したが今度は別路線組との戦いが待っている。関東の2歳女王の1強ムードを崩すことができるか。上位3頭は、桜花賞に向けて順調に調整を進めてほしいところだ。