【大阪杯2016注目馬】休養明け充分、懸念はタイムかキタサンブラック
4月3日(日)の阪神メインレースは豪華メンバーの中距離2000メートルの大阪杯(G2)今年は登録馬11頭のうちG1馬が5頭おり、春のG1シリーズの前哨戦にするのがもったいないくらいの好メンバーが揃った。今年の注目馬の1頭は、そのG1馬の中からキタサンブラック(牡4 栗東・清水久詞厩舎)を取り上げてみたい。
現在、キタサンブラックは8戦5勝と非常に魅力的な成績を残している。掲示板を外したのが、昨年の日本ダービー(G1)14着だけという優等生ぶりを発揮。日本ダービーは1000メートル通過タイムが58.8という緩みのない流れの中を道中は2番手から進めたため直線坂下まではよく頑張っていたが、残念ながら粘りもそこまでだった。
秋は、セントライト記念(G2)から始動して、休み明けでもキッチリと先行抜け出しの競馬で勝利を飾ると、次走は3000メートルの菊花賞(G1)に挑戦。この時は、キタサンブラックの血統が母父・サクラバクシンオーということでかなり不安視されていたのをよく覚えている。だが、キタサンブラックは周囲の不安をよそに、この長距離レースを制してしまう。
このレースの序盤、キタサンブラックは道中5番手にいたが、京都の3コーナーから4コーナーにかけての下り坂で他の馬がポジションを押し上げていく中で、この馬と鞍上の北村宏司騎手だけはワンテンポ待って追い出しにかかった。直線では、そのワンテンポ分が明暗を分けたのかゴールまでしっかりと伸び切り3000メートル不安説を消し去ってしまった。
距離ロスのない最内を通れたのもスタミナの消耗を極力減らせたことにつながった。このレースに限っては、もちろん勝ったキタサンブラックも強かったが、鞍上のファインプレーも大きな力となった。
次走の有馬記念(G1)でも、1000メートル通過・62.4のスローの流れの中を演出して3着に粘っている。スローとはいえ強豪の古馬に混じっての初めての競馬だったからこれは評価しなくてはならない。
今回はその有馬記念以来の休養明けになるが、キタサンブラック自身はセントライト記念で休み明け1着という成績があるように普通には走れる馬だと感じる。ダービーレコードとなった日本ダービーを見るように速い時計になると少し苦しい部分があるかもしれない。
懸念はやはり早い時計か
キタサンブラックが勝ったレースは良馬場でもレコードタイムとは少しタイム差があるのも特徴。
スプリングステークス(G2)1着時が1:49.1、セントライト記念(G2)1着時が2:13:8、菊花賞(G1)が3:03.9、有馬記念(G1)3着時の自身のタイムが2:33.1と従来のレコードと比べて2秒から3秒ほど時計が掛かっているのがキタサンブラックには合っていると感じる。
パンパンの速い芝コースになると少し苦しい面がありそうだが、通常の芝状態であれば上位に食い込む力は備え済み。ましてや明け4歳馬で成長著しい時期。
父・ブラックタイドは、ダービー3着のマイネルフロストや、同じくダービー5着のコメートなどを輩出している。母父・サクラバクシンオーの産駒は、キタサンブラックの他にもスプリント戦でお馴染みのハクサンムーンがおりやっぱりイメージとしては短い距離向けである。
本質的にはこの辺りの中距離戦のほうがいいようには見えるが、まだキタサンブラックに関しては全てが見えていないため、今年の競馬ぶりには注目だ。
2000メートルは2回走って【1-0-1-0】3着の1回は皐月賞(G1)の時のものである。絶対的な強さは感じさせないが競馬ではキッチリと結果を残すあたりセンスはあると感じる。
阪神の直線が短い内回りもこの馬には合っていそうなため、今週はキタサンブラックの競馬にも注目してみたい。