コアなファンには堪らない?逃げの遺伝子紡ぐか、マルターズアポジー産駒!
予想する側からしても出走する競走馬サイドとしても、展開を握る逃げ馬の存在はどうしても気になるところですが、「逃げてハイペース必至」という空気を作り出すシンプルな逃げ馬というのは、特にオープンクラスに入ると減ってくるように思えます。
「逃げて差す」とまで表現されたサイレンススズカは別格と言える存在かもしれませんが、古くはツインターボなど、レース前から逃げるのが分かっていながらも逃げ切り勝ちを果たしてしまうような魅力的な逃げ馬もいました。
今年は個性派逃げ馬の一頭として競馬ファンの間で人気を誇る馬「マルターズアポジー」が引退し、今年から種牡馬生活をはじめました。G2以上では厳しいレースが続いていたものの、G3は福島記念、小倉大賞典、関屋記念と3勝を挙げてきました。
父のゴスホークケンも逃げて朝日杯FSを制した快速馬でしたが、残念ながら2018年に亡くなっており、その遺伝子を継いでいくという意味でも大事な役目を担うこととなりました。
日本における昨今の馬産事情といえば、海外で一流の成績を残した馬が来日してスタッドインというのも当たり前になりつつあり、ただでさえG1馬が毎年種牡馬入りしていく中で繁殖相手を探すのはマルターズアポジーにとって非常に難しい課題と言えるでしょう。
種付料は受胎条件20万円。今年はオーナーの藤田氏が所有する繁殖牝馬と白馬牧場の繁殖牝馬に種付けはしたものの、数頭にとどまっています。父ゴスホークケンの産駒で中央登録された馬はわずか5頭となっており、マルターズアポジーはその中で唯一の重賞勝ち馬となります。血統的な希少さもあり、思い入れが強いコアなファンも少なくないでしょう。
以前ご紹介しましたナカヤマフェスタの例のように、産駒の活躍によって父親の再評価が得られるということもないわけではないため、これから厳しい道程が待っているのかもしれませんが、今後少ないながらも産駒を見かけたら、父マルターズアポジー同様に人気薄手の逃げ切りに期待して応援していきたいところです。