16年の欧州年度代表馬がディープインパクトと交配しに来日!欧州の“血統の飽和状態問題”解決の糸口となるか?

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14日、アイルランドを本拠地として世界中で活動する競走馬の生産者「クールモアグループ」が、所有馬のマインディング(牝5)、ウィンター(牝4)、プロミストゥービートゥルー(牝4)の計3頭の繁殖牝馬をディープインパクトと交配させるために来日したことが明らかとなりました。

中でもマインディングは2016年度の欧州年度代表馬であり、英牝馬2冠、クイーンエリザベス2世SなどG1・7勝をあげている名牝です。ウィンターも昨年の英愛1000ギニーを優勝しており、プロミストゥービートゥルーも仏G1・2着の経験があり、他の2頭も欧州では人気を誇る実績馬です。長時間輸送のリスクを犯してまで初年度の配合相手にディープインパクトを選んだのですから、期待度はかなり高いと言えるでしょう。

なぜ欧州の年度代表馬が?ディープインパクトが人気のワケとは?

種牡馬であるディープインパクトは現在多くの産駒が世界各国のレースで功績を残しており、血統の評価は世界的に高まりつつあります。昨年3,000万円だった種付料は2018年から1,000万円アップの4,000万円と大幅に値上がりし、1,200万円だった2007年の初年度種付料から3倍以上も値段が上がっております。

これは多くのディープインパクト産駒の活躍があってこその功績ですが、今回の欧州のトップクラスの牝馬の来日は、欧州で活躍するディープインパクト産駒のサクソンウォリアー(牡2、愛・A.オブライエン厩舎)の功績が大きいと見ているファンも多いのではないでしょうか。この件についてインターネットの某掲示板では「完全にサクソンウォリアー効果」「サクソンが通用したから当然の選択かと」「間違いなくサクソンウォリアーの功績だな」など、この馬の功績をたたえる声が実際に多数上がっておりました。

サクソンウォリアーは父ディープインパクト、母はクールモアスタッドが所有するA.オブライエン調教師管理のメイビー(父ガリレオ)という血統。メイビーは現役引退後は日本で繁殖生活をスタートし、ディープインパクトと交配し、サクソンウォリアーが生まれました。サクソンウォリアーはその後アイルランドに渡り、昨年10月にはイギリスのドンカスター競馬場で行われたレーシングポストトロフィーS(2歳・英G1・芝1600m・1着賞金12万2210ユーロ)に、R.ムーア騎手とのコンビで出走し、無傷の3連勝で見事に優勝を果たします。馬場適性はガリレオの血が色濃く出ている印象がありますが、「欧州血統✕ディープインパクト」で欧州のG1を勝利できたことは日本の競馬ファンとしてはこの上なく喜ばしいニュースでしたし、日本の競馬界にとっても世界での活躍における大きな一歩であったと言えるでしょう。

今後も課題となる「血統の飽和状態問題」

サクソンウォリアーのG1勝利と、欧州年度代表馬がディープインパクトとの交配のために来日したこの一連の出来事は、海外で活躍するディープインパクト産駒の増加に結びつくとともに、日本の競馬の「高い評価」につながる出来事とすら考えられます。もちろん、これはガリレオとデインヒルの血統が増えすぎて飽和状態にある欧州にとってもいい緩和剤となる可能性が高く、血の活性化となれば欧州競馬の発展にもつながってくるでしょう。

日本国内でも近年はキングカメハメハとサンデーサイレンスといった王道の配合で行き詰まってる感があり、「血統の飽和状態問題」は日本でも大きな課題となっております。つい先日もサンデーサイレンス産駒の最後の現役馬であるビュレットライナーが引退し、一つの時代が終わりを告げたばかり。新種牡馬オルフェーヴル産駒やロードカナロア産駒など、国内で活躍した名馬の仔の活躍も目立っておりますが、今後はこういった血統の世界的な広がりも視野に取り入れていく必要があるのではないでしょうか。