ジョッキーは何と言っても場数を踏んでこそ飛躍する。

調教師の息子など、競馬サークルに近親者がいるジョッキーは少なからず他のジョッキーよりは恵まれている。しかし、幾ら調教師が騎乗させたいと言っても馬主が首を縦に振らない限り騎乗する事は出来ない。コネはキッカケにはなっても全てではない、ここが勝負の世界のシビアなところである。

場数を踏んでも雰囲気に飲まれる事はある。1998年の日本ダービーがいい例だ。キングヘイローとコンビを組んだのは福永祐一騎手。皐月賞では鋭く追い込み、セイウンスカイには及ばなかったが2着を確保。スペシャルウィークには先着した。

2番人気で迎えた日本ダービー。ゲートが開くと福永騎手は何と、キングヘイローで逃げの手に出た。場内は騒然。確かにスタートは良かった。1枠2番と言う枠も意識しての事だが、幾らなんでも逃げは流石に無理がある。

案の定直線大失速した。14着惨敗とほろ苦い経験をした。勝ったのは武豊騎手騎乗のスペシャルウィーク。武豊騎手にとって初めての日本ダービー制覇となった。武豊騎手はいつも通りの競馬。福永騎手は逃げた事がないキングヘイローで逃げた。

流石に日本ダービーでこの手は通用しない。福永祐一騎手はキングヘイローで重賞初制覇を飾っている。東スポ杯2歳Sで初制覇。福永騎手は他同期の騎手に比べれば騎乗数は圧倒的に多かったが、日本ダービーでは舞い上がってしまった。

今週末から新人ジョッキーがデビューする。昨年は木幡巧也騎手が最多新人勝利をあげた。騎乗数は他の同期に比べてやはり多かったが最初から多かったわけではない。騎乗技術が認められ後半戦で騎乗依頼を増やしていった形だ。今年が勝負の年になる。新人ジョッキー達には自分の味を出して、騎乗依頼を勝ち取って欲しい。