【追憶の名馬面】スペシャルウィーク 最終話「最後の宿敵」
抜群のスタートを決めたスペシャルウィークは、すっと控え3番手くらいに付けた。前には菅谷のサンデーセイラ、小原のタマモイナズマ。菊を逃げ切ったセイウンスカイは、最初の坂越えまでスペシャルウィークにピタリと寄り添って追走し、不気味さを醸し出していた。最初のホームストレッチでセイウンスカイは、定位置のハナを奪いマイペースに持ち込んだ。スペシャルウィークは、動かず騒がず3〜4番手の外目。折り合いは完璧だ。しかし、その5馬身くらい後ろ、本当に真後ろの位置にメジロブライトが息を殺してマークしていた。前回は影のようだったが、この天皇賞ではまるでスナイパーのようなマークの仕方だった。
セイウンスカイのペースのまま、最後の坂越えへ。ここでスペシャルウィークが動く。武のアクションを機敏に察した彼は、抜群の手応えで、一気に先頭集団へ躍り出た。その後ろからブライト。河内も引き金に手をかけ、前を行く主役を狙った。
先頭で直線に入ったのはスペシャルウィーク。競られたセイウンスカイは何とか抵抗したが、前へ進む力は残っていなかった。悔し涙を流す白い馬の後ろから、光り輝くメジロの弾丸が襲いかかる。阪神大賞典と同じ体形になった。
内にスペシャル、外にブライト。両雄が見せた再戦は、結果も同じだった。やはり、最後の半馬身が詰まらず、メジロブライトの盾連覇の夢は敗れた。早めに抜け出し、ライバルを競負かし、追随も許さなかったスペシャルウィークが、古馬最強の座に就いたのだった。