佐賀で大輪を咲かせた開業59年目の老舗小規模牧場
栄枯盛衰はどの業界でも起こりうることですが、大小問わず、長年に渡り継続するのは並大抵の努力ではできないことでしょう。
競馬界は特に厳しく、高額なら走る、良血馬なら走る、という単純さがなく、投資に見合うだけの成果が出るかは一か八かの要素も多いです。繁殖牝馬や種牡馬を多数抱えている大手の牧場ならともかく、小さな牧場は種付け相手も懐具合と相談しつつとなるだけに、特に生き残るのが大変な印象があります。
そういった意味で繁殖牝馬5頭と厳しい環境ながら、大輪を咲かせたのが新冠町の佐藤静子さんです。数少ない生産頭数の中から、今年は佐賀の3歳限定地区重賞の「ロータスクラウン賞」をトゥルスウィーが制したことにより、九州3冠を達成しました。
1962年開業という老舗で、昭和、平成、令和と血統の入れ替わりが激しい昨今、大健闘といえるのではないでしょうか。
2020年6月にホッカイドウ競馬からデビューし特別戦を含む3連勝と活躍し、その年の秋に門別競馬で連敗したのを機に、佐賀競馬へと移籍しています。
得意の先行力は移籍後にさらに磨きがかかり、佐賀皐月賞、九州ダービー栄城賞、そして最後の1冠となるロータスクラウン賞を制し、3冠馬となっています。
コンビを組んでいる山口勲騎手の巧みな手綱さばきの功績も多大なものがありそうですが、トゥルスウィーの血統背景をみると、日本でなじみのある、さらに現役時代をよく知る競馬ファンが多い血統背景ということがわかります。
父はG1勝ちこそないもののマイル重賞で活躍していたディープインパクト産駒のヴァンセンヌ、母の父は同じく芝マイル以下で活躍していたブラックホークという血統背景です。
その後、母ブラックウィッチにはアポロケンタッキーが配合され、無事に牡馬が誕生しました。ヴァンセンヌとは全く異なる血統背景の持ち主だけに、弟はどんな活躍を見せるのか、日ごろ注目度がJRAほどはないにせよ、応援したいですね。