海外の競馬業界にとって、「日本の競馬」の魅力とは何か?
海外の競馬業界にとって、「日本の競馬」の魅力とは何か?
下世話な話になってしまうが、何と言っても「お金」だろう。
日本の競馬ファンが落とすお金は海外の主催者にとって非常に魅力的。昨年の凱旋門賞では日曜深夜の施行にも関わらず、国内の売上は約41億円。これは地元フランスのPMU(場外馬券発売公社)の発売金1,700万ユーロ(約19億5,500万円)の倍以上である。販売額に応じて各国の競走主催者に手数料が入ってくることを考えると、日本から入ってくるお金は大変魅力的であるに違いない。
この凱旋門賞の成功の効果もあってか、アメリカも同国の主要レースに日本馬を誘致するための活動に力を入れてきている。手始めに昨年のブリーダーズカップ、そして今年の三冠競走と、アメリカの代表的なビッグレースへの出走が次々に決まってきている。
日本にとっては世界で日本の競馬を宣伝できる大きな機会となるし、主催者にとっては嬉しい売上増となるし、一見両者にとって良い話ばかりのように思えるが、まだまだ課題は山積みで悪い方向へ転ぶ可能性もある。というのも、凱旋門賞以外の売上を見てみるとメルボルンCが約6億円、ブリーダーズカップは約8億円、香港国際は4レース合計で約38億円という結果になっており、凱旋門賞が抜けているだけで他は爆発的な売上をあげたという印象はない。
その原因の1つとされるのが「時差」だ。
凱旋門賞が成功したのは、過去に日本馬の好走歴もあるしブランド価値が高いレースだったおかげもあるが、発走時刻が国内レースが終了した後の日曜深夜というちょうどよい時間帯だったことも良かった。日曜メインレースで買っても負けても、「このあとの凱旋門賞でも注ぎ込むか…」「凱旋門賞で取り返すぞ…」といったように、この日は楽しみが尽きなかった。かくいう筆者も当日は国内のスプリンターズSが終わったあと凱旋門賞を購入し、非常に満足度の高い一日となった。
しかし、その後の海外レースはというと、翌月のメルボルンCは販売の時間帯が平日火曜日の朝7時~13時と、世のサラリーマンにとっては忙しい時間帯であった。12月の香港競走は開催日時がG1の阪神ジュベナイルフィリーズと重なっていることもあり、全体的に低調な結果に。さらに阪神側の売上は前年割れし、購入資金を食い合う結果となった。香港競走はレースが4つもあるため、阪神JFも入れると予想に追われるのとレースを絞る作業がいつもよりかなり大変で、全体的に忙しくて満足に楽しめなかったという印象が強い。