関越道を爆走する騎手E・T。

これは、今から10年程前の話。その日は全国的に猛暑で非常に暑い金曜日だった。とあるジョッキーはその週は騎乗停止だった為、厩舎を回っていた。新潟で騎乗するジョッキーが次々に午前中に出発する。車で行く者。新幹線でいく者などが、入室制限時間の21時に楽々間に合うように出ていく光景。いつもなら、その中にこの騎手もいるのだが、この日は移動する必要はなし。午後2時を回り、ある一人のジョッキーが何故かまだいる。間違いなく翌日10鞍騎乗予定がある、穴ジョッキーE・Tだ。

思わず間に合うのですか?そう声をかけると、毎年恒例の事だからね。大丈夫だよ。東京まで出て新幹線なら、確かに間に合う。これが新潟まで車だとギリギリ。しかし、平然と午後7時には、新潟競馬場の調整ルームに居るのである。一体どれくらいのスピードを出しているのか?同乗したことのあるジョッキーの話だと、運転のテクニックは美浦トレセン所属騎手の中でも、ずば抜けて1番。しかし、平然と150キロを出すので、幾ら高速道路とはいえ、生きた心地がしなかったと言う。

信じられない話だが本当の話である。毎回150キロも出していればオービスで一発アウトだが、オービスのある位置は一通り把握しているらしい・・・。後は白バイに捕まらない限りは大丈夫と言うわけだ。狭い日本そんなに急いでどこに行く。全くE・Tにしてみたら全く意に介さずと言ったところか?

面白い事に帰りはのんびり帰ってくる。行ものんびり行けばいいのだが・・・。しかし、流石にこれはジョッキーとしての行いとしては不味い。この情報を確認した、JRAは、E・Tから事情を聴き、暴走を禁止。次にやったら、騎乗停止と言う措置を取った。それから、E・Tは新潟に行く時は午前中に出発し、のんびり行くようになったという。ジョッキーも色々な人がいる。

高速道路でクラッシュしたら大事どころの話ではない。その点、大事に至る前に対策を打ったJRAの判断は正しかったと言えるだろう。