夏競馬の醍醐味「夏の降級馬」が買えるのは今年で最後?2018年夏からは降級制度が廃止に?
この時期はクラス替えが行われ4歳馬は本賞金が半分に割られ、降級する馬が続出します。せっかく稼いだ賞金が半分になるのは嫌なイメージがありますが、勝った条件で再び戦えるということは実は大きなアドバンテージにもなります。
例えば、今週の日野特別(500万下)に出走予定のケンコンイッテキは1000万で連続2着で降級。このレベルの馬が500万下で出れるというのだからもはや反則です。当然出走すれば人気になるでしょうし、勝ち負けを演じる可能性が極めて高いです。1000万で勝ち負けを演じ僅差で負け、勝てば準オープンになっていたような馬が500万に降級してくるのは現級馬にとってはかなりの強敵になってくると言えるでしょう。夏の降級馬を狙って購入するファンも少なくないでしょうし、それを予想するのが夏競馬の面白さの1つとも言えます。
しかし、この降級制度は来年2018年の夏より廃止になるという話も浮上しております。この案件は協議中でJRAでは概ね合意の方向で進んでいるという噂も聞きますが、廃止された場合は我々競馬ファンや馬主にとって一体どんな影響がでてくるのでしょうか?
降級制度が無くなるとどうなるのか?
そもそも降級制度ができたのは、本賞金だけでクラス編成すると実力にバラつきが生まれてくるからという理由からです。要するにどういうことかと言うと、レースはなるべく同じような実力の馬で組みたいので、たまに上位のクラスで負けている馬と下位のクラスで勝ちきれない馬に混ぜたほうが競馬番組的にも魅力が上がり盛り上がるから、という内容です。
廃止を提示した主な理由についてJRAは2つの理由を挙げております。1つ目は、現状でも夏に降級馬が増えると高条件のレースを組みにくいからということ。2つ目は、ビギナーファンにとっては分かりにくい制度であるから、ということです。
穴馬券を取る為の非常に美味しい存在でもあった夏の降級馬。これがいなくなってしまうのは、競馬ファンからすれば競馬の楽しみが1つ減ってしまうような気がして何だか残念な気もします。しかし、一番影響が出るのはやはり馬主サイドの人間でしょう。クラブ馬主や高額馬を多く所有するような大物馬主ならともかく、所有馬が少ない馬主にとっては正直あまり良い話には聞こえません。
まず、競走馬は一度クラスが上がると、勝って次のランクへ行くまでは引退するまでそのクラスで戦わなければなりません。そのクラスで勝てない馬がランクを下げたクラスで勝負すれば優勝する機会は増えますし、馬主にとってみればそのほうが少しでも稼げるチャンスがあって良いのです。1000万や1600万でくずぶっていた馬が降級して勝つというのは条件馬しか保有していないような馬主にとっては有り難いことですからね。
廃止されれば高条件レースが増えるので必然的に全体の賞金もアップするというメリットもありますが、1600万あたりは飽和状態になりそうですし、廃止後も新たな対策が必要になってくると思われます。さらに、降級を廃止することで上から降りてくる馬も居なくなるわけですから、現級のレベルは今よりも下がることになるでしょう。昇格したくない馬主が出てきてヤラズの競馬が増えてくる自体になるということも出てきたりしそうですね・・・。地方へ移籍する馬も増えてきそうですし、廃業に追いやられるような馬主も出てくるのではないでしょうか。
いずれにせよ、買う側のファンにとってはさほど大きな問題にはならなそうですが、これは馬主サイドからしてみれば大変大きな問題と言えます。今後は馬主連合会、調教師会と協議を重ね、進められていくようです。来年夏まであと1年、制度改革への動きが慌ただしくなってきました。