プロミストリープ移籍から考える中央・地方とも「Win-Win」な関係とは?
今年もいよいよ3歳クラシックが牡馬牝馬ともに開幕しましたが、JRAに先立ち南関東の桜花賞は先月21日に行われており、勝ったのはJRAから転入初戦となったプロミストリープでした。季節外れの雪により泥濘んだ馬場の中おこなわれ、内枠で出遅れる最悪のスタートを切ったプロミストリープでしたが、終わってみれば2着アンジュキッスに1馬身1/2差を付けての勝利。2着笹川騎手、3着今野騎手ともにコメントしたように「勝った馬が強かった」という内容でした。
一昨年バルダッサーレが中央で500万条件を勝利した直後に南関東に移籍して東京ダービーを制覇した際にも問題視された事例にも似ていますが、それよりも更に早い3月上旬の移籍ということかなりレアなケースではないでしょうか。所属のシルクレーシングからは移籍理由として「中央在籍のままではコンスタントな出走が困難になる可能性が高いことが予想されるため」と発表されました。
コンスタントな出走が困難になる原因とは?
芝路線であれば重賞やオープンなどが豊富に組まれているため収得賞金が横一線であっても何かしらレースに出走する機会が得られるものです。特にトライアルなどであれば勝利できなくとも第一線に飛び級できる可能性もあります。一方でJRAの3歳ダート路線と言えば、未勝利・500万下条件戦は十分に組まれているのに対して3歳馬の出走できるオープン・重賞が少ないため準備は出来ているのに出番が回ってこないという状況が頻繁に起こりえます。
特にクラブ馬にしてみると多数の出資者のコンセンサスを得るのは非常に難しいため、出走機会を得る方法があるのならばためらうわけにはいかない側面もあるのでしょう。数少ないチャンスをものにしたプロミストリープに関しては大成功と言ってよさそうです。
地方・中央の今後の関係は?
今回は「相手が強かった」と半ば諦観したような南関東勢でしたが、今後こういった移籍が当たり前となってきたときには地方保護の声があがることもあるかもしれませんが、出走先に困っている中央馬の受け皿はどうするのかという問題もあります。そんな地方の危機感の向かう先が消極的なものではなく、地方自身のレベルアップに向かったときこそダートレースの活性化や番組の充実化に繋がるのではないでしょうか。迂遠になるかもしれませんが、それこそが中央と地方ともにWin-Winな関係になると期待しています。