競馬界の大企業「社台グループ」が切り開く競馬の未来
競馬ファンの方なら、誰もが知っているであろう「社台グループ」。数々の生産牧場を持ち、最近急激に人口を伸ばしている「一口馬主」の会社もいくつも所有している。
国内のG1レースに出走している馬で、社台グループが全く関わっていないという馬はほとんどおらず、生産牧場だったり育成牧場や馬主が社台系であるなど、何らかの形でグループが関わっていることがほとんどなのだ。社台の牧場で生まれた馬は優秀な父母の血統を持ち、国内屈指の環境で訓練を積み、グループ最大のバックアップを受けてレースに臨むことができる。そのため、自然と勝率は上がってくる。言わば競馬界のエリート的存在である。
G1を7勝もした名馬・ディープインパクトはグループ牧場であるノーザンファームで生まれ育ち、父は社台ファーム所属のサンデーサイレンスだ。三冠馬オルフェーヴルや世界1位となったジャスタウェイや、他にもドゥラメンテ、ラブリーデイ、ジェンティルドンナ等、社台の活躍馬をあげればきりがない。そんな状況から、「社台が業界を独占している」という声もあがっており、今後の国内の競馬界を大きく先導している社台グループ。果たして社台グループに託した日本の競馬界の未来は明るいのだろうか?
社台グループが強いのは「企業努力の賜物」
社台グループが業界を独占していると言われるのも無理はない。優勝賞金1億円を超えるようなG1レースの半数以上は社台グループが独占してしまっており、このような現状を「社台の運動会」と揶揄する競馬ファンも多いのも事実。あまりにも力を独占する故、快く思わない人がいるのは致し方のないことかもしれない。
日本競馬への貢献度という点で見てみても、多大な貢献をしているグループである。育成環境を整え、馬を強くして、日本で一番になったら海外へ出て挑戦していく。この流れは間違いなく社台グループが作ったものと言えるだろう。海外から積極的に種牡馬を輸入し、新たな血を入れることも忘れていない。「社台が独占している」といった声があるのは事実ではあるが、ズルをしているわけでも卑怯な手を使っているわけでもない。自分たちが努力し、頭をひねって生み出した結果である以上、それは「企業努力の差」であると言わざるを得ない。
日本の競馬の海外進出を切り開いた
目を世界へ向けてみると違う見方ができるのではないだろうか。世界には社台を超える大規模な競馬の大企業グループや王族が多く存在しており、そられに比べれば日本の社台グループなんてまだまだ小さな存在である。そんな中で、欧米に全く歯が立たなかった90年代からわずか十数年で日本馬が世界のトップと張り合えるようになったのは間違いなく社台グループのおかげである。欧米生産界の多くが種牡馬として失敗すると見込んでいたサンデーサイレンスの血統を16億円という大金を払って日本に導入したお陰であり、この大きな賭けに出て見事な成功を収めた社台グループは称賛に値する。
現在社台グループの目は世界にも向けられるほど大きくなり、どんどん新たな挑戦に力を注いでいる。パワーバランスを考えたとき、社台グループが世界の競馬業界を飲み込むことは相当な年月と幸運が必要となるだろう。確率はほぼ0に近いというくらいに世界との差は大きい。それでも日本の競馬を背負っている社台グループが仏や、香港、豪洲といった世界の競馬にチャレンジしていく姿勢を見せているのは一競馬ファンとしては多いに喜ばしいことである。社台系の馬が世界挑戦に目を向けたことによって、非社台系の馬たちも世界に挑戦していく機会が増えてきた。これまで世界の競馬の舞台ではなかなか活躍することができていない日本の競馬界だが、世界の競馬に目を向けて挑戦し続けていってくれれば日本の競馬の未来は明るく、更に輝きを増していくと信じている。