【阪神牝馬S2016回顧】有利な展開を作ったスマートレイアーに軍配

9日の阪神競馬場では古馬牝馬の重賞・阪神牝馬ステークス(G2)が行われた。ヴィクトリアマイル(G1)に向けての大事な一戦。馬場状態は良馬場。

レースは前半600メートルが35秒2、800メートルが47秒1という流れ。馬場状態が稍重の6レースに行われた1600メートルの3歳500万クラスの前半600メートルは35秒3、800メートルが47秒2であった。全体時計は阪神牝馬ステークスが1:33.1であるのに対し、3歳500万クラスは1:34.0。

前半は稍重の500万クラスとほぼ変わらないペースだっただけに前にいた馬にとっては絶好の展開になったのはあるかもしれない。

1着・スマートレイアー

スタートを無難に決めると途中までは2番手にいた形だったが3コーナーに入る前にはハナに立って競馬をしていた。前有利の絶好の展開を作ることに成功したから、道中はしてやったりという気分だっただろう。直線に入っても前半のアドバンテージを活かしてスイスイと逃げ込みを図り、最後は1番人気のミッキークイーンに詰め寄られながらも何とか残した形で阪神牝馬ステークス2勝目を飾った。

今回は展開が向いたのもあったが、スマートレイアー自身が昨年あたりから先行スタイルの競馬を覚えたというのも非常に大きかった。これで今度はペースが速くなりそうであれば後方からという競馬もできるため、現在のスマートレイアーは成績も非常に安定感がある。

実力的にスマートレイアー以上の馬がいたとしても、この展開を味方につけた時はやはり注意が必要。次走も注目。

2着・ミッキークイーン

本質的な能力がこの日のメンバーでは抜けている印象。2400メートルのオークス(G1)と2000メートルの秋華賞(G1)を完璧な競馬で勝っている馬だから折り合いなどは問題なく直線へ。少し窮屈そうなところを割って伸びてきたが、坂を上がってからの末脚は非常に破壊力抜群。

エンジンがかかるまで時間を要したが、一度全開になるとこれくらいの脚は使える馬。休養明けも叩き、次走は上積みも見込め非常に期待の1頭だ。上がりはメンバー最速の33秒3だった。

3着・ウインプリメーラ

道中は先団からの競馬で直線も非常に良い粘り腰を発揮。すぐ後ろにいたカフェブリリアントに一度は交わされたが、追ってから味がある脚を使い最後はもう一度差し返している。男馬相手に今年の京都金杯(G3)を勝っている馬であり地力の高さはさすが。

6歳になって成績も安定してきており、これで3戦連続の3着内での入線。今後もこの辺りのクラスでは堅実な競馬を見せてくれるかもしれない。

4着・カフェブリリアント

懸念されていた折り合いがこの日はついた。この馬、鞍上の福永騎手と非常に相性が良く、全6勝中3勝をこのコンビで挙げている。特に不利もなくスムーズに競馬ができたから力は出しきっている印象。休み明けを叩いた次走に期待したい1頭である。

その他・総評

単勝143.5倍の12番人気で6着にまで追い込んできたペルフィカは上がりがメンバー中2位の33秒6。この馬はゲートが課題であり、この日も好発組と比べるとやや出遅れ気味の競馬だった。前走の京都牝馬ステークス(G3)でも最後方18番手からの競馬となったが、直線だけで7着にまで追い込んできている。昨年の秋から馬が成長しているのではないかという最近の競馬だけに次走も注目しておきたい1頭。

8着のアンドリエッテもこの落ち着いた流れを最後方から追走して直線は33秒7の脚で追い込んできたがこの日のペースではこれが精一杯。後ろの組には少しかわいそうなペースとなっただけに次走、もう一度見てみたい。