【アンタレスS2016回顧】アウォーディー・アスカノロマンの2頭が抜けた走りを見せた

16日の阪神競馬場では古馬ダートの中距離重賞・アンタレスステークス(G3)が行われた。馬場状態は良馬場。

フルゲートの16頭が出走したこのレースの序盤のペースは800メートル通過が48秒3、1000メートル通過タイムが60秒4の流れ。6レースに3歳の500万条件があったが、こちらは800メートル・48秒6の1000メートル・61秒5。全体時計が500万条件が1:52.7であるのに対し、アンタレスステークスが1:49.9。

十分に古馬のダート重賞クラスのレベルの高さを見せたレースとなった。

1着・アウォーディー

単勝1.8倍の人気を集めていたが危なげないレース運びを見せてくれた。

5枠9番からの発走で序盤は折り合いをつけるために中団から後ろを選択したが、馬群が固まったグループから少し後ろの位置で競馬ができたため、この辺りも前を見ながらという形で競馬がしやすかったのではないだろうか。

後方からの競馬は前が壁になる心配もあるが、この日に限ってはバラけた隊列となり外に出すのも難なくクリアしたという道中だった。

直線に入ると、残り50メートル前後で粘るアスカノロマンを交わして順当勝ち。着差は半馬身だが、それ以上に余裕があった勝ち方にも見えた気がする。これでダートは4戦4勝。

前走の名古屋大賞典(交流G3)で2秒4差の大差勝ちを収めており、地方の深いダートも楽々とこなすため、今後は交流重賞を含めて主役級の活躍が期待される。次走が楽しみだ。

2着・アスカノロマン

負けはしたが非常に強さを感じさせてくれた競馬だった。

この日は大外枠からの発走でスタート直後は前目のポジションを取るために多少押していった形。道中は2番手からの競馬となり、折り合いに関しては少し前向きな面も見受けられたが特に影響がでるほどでもなかったように感じる。

4コーナーから直線に入ってからの手応えが抜群に良く、持ったままで逃げ馬を楽々と交わして先頭に躍り出た。追われてからの脚も非常に素晴らしく、圧倒的1番人気のアウォーディーに最後までくらいついた唯一の馬。

前半1000メートルがピシッと締まったペースを2番手からの先行抜け出しだから内容も素晴らしいものがあった。3着以下につけた着差が3馬身。

年明けに中京の東海ステークス(G2)で2着馬に2馬身の差をつけて快勝しているからやっぱりこの馬も強い。昨年のアンタレスステークスで2秒7差の14着に大敗しており、今年は成長した姿をしっかりと見せてくれた。

それにしても驚異的な成長力だと感じたこの日の競馬だった。次走以降ももちろん注目。

3着・サージェントバッジ

スタートで後手を踏みダッシュがつかなかった。道中はインコースの後方13番手を追走。折り合いバッチリで気持ちよく走っているようにも見えた。

直線に入ると、内から外に持ち出して最後はアウォーディーと並び上がり最速タイの36秒8の末脚で3着。スタート以外は距離ロスもなくレースを運べたこともあり良い競馬だった。全4勝中3勝が京都や札幌での平坦コースであり、良質な切れを活かせる競馬が向いていそう。

この日はペースがある程度流れてくれたことで後方の馬も展開の不利なく上位に顔を出せる競馬となったのもよかった気がする。一線級がいないオープンあたりでもう一度見てみたい馬である。

4着・クリソライト

おそらく何がなんでも逃げる競馬をしたかったのではないだろうか。スタートしてすぐに鞍上の川田騎手が激しく出ムチをくれていた。

ただ、この日は外からスピードのある馬が楽な手応えで先行集団を形成したため、クリソライトは内枠ということもあり少し窮屈な競馬を余儀なくされてしまった。

あれだけ激しく前に誘導したから折り合いもバラバラであり、この日はスタートからゴールまで一度もスムーズにレースを運べることはなかった。ただ、あれだけチグハグな競馬をしても4着に入線するのは地力の高さの証明。

3歳時にジャパンダートダービー(交流G1)1着、前走のダイオライト記念(交流G2)も2連覇を達成。この日の競馬で次走、人気が下がっていたら少し注意してみたい馬の1頭。

その他・総評

その他、気になったのが9番人気で6着に善戦したショウナンアポロン。前走は1000メートル通過・63秒3の超スローペースのマーチステークス(G3)を逃げ切った馬だが展開に恵まれた勝利と判断されたのか、この日も低評価だったが今回は前走よりも3秒も速いペースで逃げて6着にまで粘り込んだ。1着、2着馬には突き放されてしまったが、3着とは0.4差の競馬をしており出走馬のレベル次第ではこの先も期待できそうだ。

5着のロワジャルダンは道中引っ掛かってしまった。スムーズに走れれば力は上位なのでこの馬も次走以降はまだまだ注目してみたい。

今年はアウォーディーとアスカノロマンが小細工なしで3着以下を突き放したため、少しこの2頭が抜けていると感じたアンタレスステークスだった。