岩手競馬、相次ぐ禁止薬物の検出で当面開催禁止へ

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岩手県競馬組合から6日、10日以降に予定されているレースを全て期限を定めずに開催休止とする発表がされた。10月28日に盛岡競馬場の第5レースで優勝したヒナクイックワンから筋肉増強剤ボルデノンが検出され、今年に入り今回で3度目となる。

岩手競馬では7月29日と9月10日にそれぞれ1頭ずつボルデノンが検出されており、2度目の検出を受け組合は9月22日の開催を全て中止し、競走馬理化学研究所に組合所属の全717頭の検査を依頼。再発防止として盛岡、水沢両競馬場への監視カメラ約150台の設置や、警備員による24時間監視などの対策を進めていた。

ヒナクイックワンを管理する高橋純厩舎は2件目となったウバトーバンに続き2頭目の検出となり常習が疑われる反面、全頭検査や監視体制も進んだのちの出来事ということもあり、厩舎としての指示ではなく外部からの犯行も疑われており一筋縄ではないかない事情がある。調教師も「現時点では詳細なコメントが出来ない」と発表しているが、組合は競馬法違反の疑いがあるとして盛岡東署に通報をしている。

岩手競馬は2007年に「単年度収支の均衡」を条件として岩手県、盛岡市、奥州市から約330億円の融資を受けた経緯があり、今回の薬物検出を受けた開催休止は今年度の収支に大きく影響を与え、赤字となれば岩手競馬存続に関わる問題へと発展する。県競馬組合議会の郷右近浩議員も「岩手競馬を潰したい意図があるのでは」と訝しんだ声を出した。

賞金目当ての自分本意な薬物投与であれば擁護の余地もないが、例えば上記口実をもとに岩手競馬を潰すための工作活動であればまた話も変わってくるだろう。

はじめに検出されたのは後2件とは異なる三野宮通厩舎であるため、岩手競馬全体に蔓延していると見るか外部から貶めるための犯行と見るか、いずれにせよ3度目は管理の甘さが招いた結果である。経済効果も莫大な多数の人間が携わる事業であり、収益化も進んできていたため開催禁止のまま閉鎖となるのは非常に大きな影響となる。一刻も早い原因究明と岩手競馬存続への道筋が残されることが望まれる。