新馬戦開幕、今年の見どころは?

競馬はダービーからダービーまで。先週日本ダービーが開催され、今週からは新シーズンの開幕となる。この時期の楽しみはやはり新種牡馬の産駒デビューだろう。一昔前なら素質馬は秋以降デビューと言われていたものだが、セレクトセールへのアピールから、早い段階で有力馬をデビューさせる傾向が強まってきた。昨年のダービー翌週、最初に開催された新馬戦を勝利したケイアイノーテックは見事NHKマイルカップで戴冠を果たした。今年も新馬戦初週から目を離せないカードが組まれる可能性は非常に高い。

昨シーズンは三冠馬オルフェーヴル、短距離絶対王者ロードカナロアという目玉の新種牡馬がともに成果を挙げ、世代交代を匂わせる一年になったのではないだろうか。今年はどんな種牡馬が出てくるのか見ていきたい。

まずは2014年ドバイデューティフリーを従来のレコードから2秒も上回り圧勝を見せた“世界一”の競走馬ジャスタウェイ。父ハーツクライの代表産駒にして、その成長力を象徴付けるような戦績を残した。今年デビューする産駒の中で注目はアドマイヤテレサの2016、オーナーは引き続き母と同じ近藤利一氏で、馬名は父の名をいただきアドマイヤジャスタに決まり、栗東・須貝厩舎所属となっている。半兄には豪・コーフィールドカップを勝利したアドマイヤラクティのいる良血馬で、父もハーツクライからの変更ということで相性は悪くないだろう。

また、海外からは日本初のGalileo系となるケープブランコがやってきた。2012年からアメリカで種牡馬として供用されているうえ、芳しい成績を挙げているとは言い難いケープブランコだが、アメリカとは求められる適性もことなるため、舞台が日本に変わって化ける可能性もある。

そして成績抜きで注目したいのがメジロマックイーン最後の後継者ギンザグリングラスだ。近年母父として存在感を見せていたメジロマックイーンだが、種牡馬としての成績はサンデーサイレンス全盛期と重なってしまった不運を差し引いたとしても、本人の競走成績と比ぶべくもない。そんな中でも特に秀でた成績を残したわけでもないギンザグリングラスだが、世間のメジロマックイーン愛がサイアーラインの途絶えることを許さなかったということだろう。

そんなギンザグリングラスの産駒は地方からすでにデビューしている。勝利はまだだが、クイーンソネラの母カヤドーミーティアはワールドクリーク・スマートファルコンの半妹という一本芯の通った血統。非常に心もとない、か細い線ではあるがこういった血統がつながっていくことはオールドファンにとって喜ばしいことではないだろうか。

その他にもルーラーシップの半兄で、4億9千万円と高額のセリ値から世間を賑わせたザサンデーフサイチや、芝もダートもこなし仕上がりも早かったジャパンカップダート最後の勝ち馬ベルシャザールなど、紹介しきれないだけの新種牡馬の産駒が登場してくる。

その中から一握りすら頭角を現さない可能性もあるが、ぜひ注目をしていただきたい。