今週の中央競馬は3日間開催。その中日となる日曜日には東京競馬場で新設G2「アイルランドトロフィー」が行われる。今年が第1回となるが、実際には昨年までの「府中牝馬ステークス」と同じ条件。エリザベス女王杯への最重要ステップという位置づけのレースで、秋の女王決定戦に向けた熱い戦いが繰り広げられる。

その中で注目はオルフェーヴル産駒の6歳牝馬ライラックだ。デビュー2戦目以降はG1を含む重賞ばかりを走り続けてきたタフなキャリアの持ち主で、ここまで22戦を重ねてきた。勝ち鞍は2勝ながら、G3勝ちやG1・2着を含むハイレベルな戦歴を持ち、地力の高さは疑いようがない。

ここ10戦は4着が最高と結果こそ出ていないが、前走のクイーンSでは光る内容を見せた。小回りの札幌競馬場で10番人気の低評価を覆し、大外から強烈な末脚で追い込んで4着。直線がもう少し長ければ確実に馬券圏内だったといえる内容だった。

しかもそのクイーンSの上位陣が強力だ。勝ったアルジーヌは海外G1への挑戦を視野に入れ、2着ココナッツブラウンは次走・札幌記念で牡馬相手に2着。3着フェアエールソングもオールカマーで4着と、いずれも牡馬混合の重賞で好走している。それらと僅差の競馬をしたライラックのパフォーマンスは高く評価されて然るべきだ。

さらにライラックは“ほぼ府中牝馬S”となるこの条件で過去に3着の実績があり、東京芝1800mはベスト舞台のひとつ。今回はメンバー構成的にも大きな力差はなく、展開ひとつで上位進出は十分に可能だ。

デビュー以来、常に重賞の舞台で戦ってきた実力馬が、再び輝きを取り戻す舞台は整った。馬券妙味もたっぷりなここは穴馬として警戒しておきたい。