中山競馬の日曜メインは、秋華賞への東のトライアル「紫苑ステークス」。オークス5着で実績上位のリンクスティップがここは主役と見て良いだろう。ジョスランやダノンフェアレディといった素質馬も侮れないが、実績・内容ともに一歩抜け出している存在と言える。

前走のオークスは、良発表ながらも雨の影響で緩んだ馬場に脚を取られ、伸びを欠いての5着。それでもG1の舞台で大崩れせずに走り切った点は評価できる。真骨頂は2走前の桜花賞だ。不得意な馬場に加え、スタートで立ち遅れて最後方からの競馬となりながらも3着まで追い上げた。展開の利があったとはいえ、直線でアルマヴェローチェとほぼ同じ位置に並びかけ、最後まで食らいついた内容は「負けて強し」と言えるものだった。

一方で今回も条件は簡単ではない。開幕週の中山芝は前が止まりづらく、スタート次第では苦しい立場に追い込まれる可能性もある。きさらぎ賞・2着のようにタフさの活きる流れになれば勝ち負けの期待は十分あるが、内前有利の高速馬場でも高いパフォーマンスを発揮できるかどうかが鍵となりそうだ。

さらに陣営がこの舞台に懸ける理由は「収得賞金」。現在の1200万円では秋華賞出走のボーダーに届かない可能性が高く、3着以内が必須条件となる。遠征を決断した背景には、確実に賞金を加算したいという強い意図があると見て間違いないだろう。

初の中山、開幕週の馬場、骨折明け、さらに賞金加算必須というプレッシャー。すべての条件を乗り越えて結果を出せるかどうか。リンクスティップにとって、真価が問われる大一番となる。