【JRAセントウルステークス】トウシンマカオ、叩き台でも中心視か?

中京競馬の日曜メインは、秋競馬の開幕を告げるスプリント重賞「産経賞セントウルS」が開催。サマースプリントシリーズの最終戦であり、スプリンターズSへ直結する前哨戦という位置付けから、毎年注目度の高い一戦となる。
今年の中心は、何と言っても昨年の覇者トウシンマカオだろう。
昨年のセントウルSではフルゲートの大外枠という厳しい条件を克服し、中団やや後方から鋭く差し込んで快勝。中京1200m特有の「やや前有利・大外不利」の舞台で唯一外から突き抜けており、菅原明良騎手の好騎乗もあったが、馬自身のポテンシャルが際立った内容だった。その勢いのままスプリンターズSでも2着に好走し、G1でも十分通用する力を示した。
今年初戦の高松宮記念では横山武史騎手との新コンビで4着。これまでの大跳びで外を回す形だけでなく、馬群で我慢する競馬もこなし、成長した姿を見せた。結果はママコチャの根性に屈しての4着だったが、高速決着への対応力や左回り適性も証明し、確実に競馬の幅を広げている。続くスプリングCでは中団から力強く抜け出し、レコードで勝利。淀みないペースを押し切った点は評価が高く、充実期に入ったことを印象付けた。
ただし課題も残る。まず渋った馬場は割引材料であり、時計のかかる馬場では切れ味が削がれる可能性がある。さらに本番を見据えた「叩き台」の可能性も否定できず、全力仕上げではない点が不安要素となる。横山武史騎手は先週の札幌で8勝を挙げ絶好調だが、阪神コースとの相性は突出しているわけではなく、トウシンマカオ自身も中山向きの印象が強い。加えて、相手関係も侮れず、鋭い先行力を持つナムラクレアや快速型の伏兵が揃う今回は展開面のリスクがある。
それでも阪神1200mは2戦2勝と舞台適性は抜群であり、横山騎手との呼吸も合ってきた今なら信頼度は高い。叩きの一戦と見る向きもあるが、崩れる姿は想像しにくく、軸馬としての安定感は群を抜く存在である。トウシンマカオが今年も王者の走りを見せ、スプリンターズSに弾みをつけるか注目だ。

