この1年で本格的にマイル路線へ専念し、着実に力をつけてきたウォーターリヒト。昨秋にはマイルの3勝クラス、リステッドを連勝し、年明け初戦の京都金杯では2着に好走。続く東京新聞杯では鋭い末脚を繰り出し、待望の重賞初制覇を果たした。マイル戦での完成度を一段と高め、路線の有力馬として存在感を示してきた4歳世代期待のマイラーだ。

前走の安田記念は9着と案外な結果だったが、これは展開と状態面が大きく影響した一戦だった。4か月の休み明けに加え、スローペースの後方待機策では持ち味を発揮しにくく、後方馬群から届いたのはソウルラッシュのみ。菅原明騎手も「転厩初戦でしたが、変わらず来ていました。ただこのペースでは仕方ないですね。まだ4歳ですし、これから頑張っていきたいです」とコメントしており、能力の衰えではなく、展開の不向きが敗因と見てよい。東京マイルでの適性は確かだが、G1級の舞台では好位から爆発的な末脚を繰り出す能力が求められ、その部分に課題を残した格好だ。

今回挑む中京記念の舞台・中京芝1600mは、スタート後すぐに向こう正面へ切れ込む小さなカーブがあり、序盤から位置取り争いが激しくなることでハイペースになりやすい。さらに直線は約410mと長く、差し・追い込みが決まりやすい傾向にある。持続的な末脚を武器とするウォーターリヒトにとっては、この展開とコース形態は追い風だ。事実、中京金杯では2着に好走しており、高速馬場でのロングスプリント勝負はこの馬の持ち味と合致している。

左回り巧者であり、出走頭数の減少はレース運びの安定にもつながる。流れに乗れれば確実に上位争いが可能な実力馬だが、夏場の暑さや状態面には注意が必要だ。1週前追い切りでは坂路で4F53.7－1F11.9をマークし、終いの脚は鋭く、順調な仕上がりをアピールしている。

今回のメンバー構成では人気を集める立場になる可能性が高いが、崩れるイメージは薄い。展開がハマれば勝ち切る場面も十分に想定でき、中心視に値する存在だ。中京の長い直線で、持ち前の持続力が再び光るシーンが見られるだろう。