札幌競馬場で行われる札幌記念に、ホウオウビスケッツが大阪杯5着から臨む。

前走の大阪杯はスタートを決めて先行したが、デシエルトの出遅れで楽な形になった後、2コーナー過ぎに外から被され行きたがる面を見せた。1000m通過57.5秒の超ハイペースで、金鯱賞のように行かせて最後に捕まえる形を想定していたものの、動き出しが早く、後方のベラジオオペラの目標となってしまった。岩田康誠騎手は「1コーナーまで少し力んだ。展開は想定していたが、デシエルトが行ったところでうまくはまれば」と振り返ったが、早仕掛けが結果的に差し競馬へと流れを変えた印象だ。加えて2000m以上での経験値の差も最後の100mに影響した。

それでも金鯱賞2着の実績から能力は確かで、持ち味の立ち回り力を生かせば十分に勝ち負けできる存在だ。加えて洋芝適性は抜群で、昨年は巴賞と函館記念を連勝。函館記念では距離延長にもかかわらず、岩田騎手が折り合いを重視し、2番手から抜け出す完勝劇を演じた。荒れない馬場を味方にした点はあるが、何より人馬の呼吸が合い、パワフルな伸び脚で後続を封じた内容は本物だった。主戦の岩田騎手とのコンビは心強く、今回も人馬とも高いパフォーマンスに期待したい。

札幌記念は例年ラップの緩急が少なく、持久力勝負になりやすい舞台。安定した先行力を武器とするホウオウビスケッツにとっては理想的な条件だ。すでに3週前から札幌入りし、調整も順調。1週前追い切りでは岩田騎手を背にダートコースで5ハロン67秒3―11秒7の鋭い動きを披露し、トレーナーも「年齢を重ねてドシっとしてきた。やっと大人になった」と成長を実感している。

昨年の函館記念で見せた先行押し切りの強さと、今年の金鯱賞で示した地力。これらが噛み合えば、札幌記念のゴール前で再びホウオウビスケッツの名が高らかに響く可能性は高い。