【天皇賞・春】2022年は兄・和生のフィーバーか?父顔負けな“馬優先主義騎乗”でさらに進化
来週は3200mの長距離G1「天皇賞・春」がいよいよ開催。上位人気の一角として注目を集めているのは、昨年の菊花賞馬で、日経賞を快勝したタイトルホルダーだ。
前走の日経賞は単勝1.6倍という圧倒的な1番人気に支持されながら、迷わずハナを奪って逃げ切りVを達成。始動戦を勝利し、本番へ向けて好発進を切るかたちとなった。
馬も当然高く評価したいが、注目すべきは今年絶好調の横山和生騎手だ。今年すでに重賞を3勝しており、これまでキャリア10年をかけて挙げた重賞3勝を、この2ヶ月であっさりと達成してきた。昨年は弟の横山武史騎手が好調だったが、今年は重賞で1番人気馬に8度騎乗し7度落としている。不振にあえぐ弟にかわって兄の調子が上がってきているという状況である。
兄の和生騎手は先週のアンタレスSを2番人気のオメガパフュームで快勝。ラスト3F地点では後ろから4頭目と後方の位置だったが、そこから一気に伸びて差し切る強い勝ちっぷりを披露した。有力馬が前で早めに抜け出す中この位置ではどうかと思われたが、終わってみれば59kgのトップハンデを背負ってのごぼう抜きという貫禄V。「リズム良く邪魔をしないように」とレース後に横山和生騎手がコメントしているように、馬を信じた騎乗が結果に繋がったと言えるだろう。
また、タイトルホルダーで日経賞を逃げ切った際には、「ラップがどうこうではなくて、どういうリズムでどういう走りをするのかが大事な焦点でした」とコメント。本番の天皇賞・春へ向けても「この馬を信じて、人間も思い切って乗らないといけないと思いました」と父顔負けな“馬優先主義的”なコメントを残した。ここへきて乗り方のコツを掴み始めてきたような気配を感じるのは筆者だけだろうか。
個人的な横山和生騎手の印象としては、指示とは違う乗り方や、考えすぎて動けない場面が多く見られる騎手という印象があった。これまでなら、長丁場のG1で逃げ馬に乗る横山和生騎手と聞けば、信頼度に欠けるところがあっただろう。しかし、先週のオメガパフュームの貫禄V、タイトルホルダーの逃げ切りVで騎乗に対して好感触を掴んだ今の和生騎手なら、馬の実力をしっかりと発揮してくれる騎乗を展開してくれるのではないかと期待したくなる。
菊花賞では弟の横山武史騎手とのコンビで快勝したタイトルホルダー。弟への乗り替わりを推すファンも少なくなさそうだが、ここは勢いと成長を見せている兄の横山和生騎手を信じてみてはいかがだろうか。