馬を救い人を癒やす「TCCセラピーパーク」、引退馬のセカンドキャリアを支援

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馬には人を魅了する力があることは我々競馬ファンは身をもって知っていることですが、それ以外にも「乗馬」や「セラピー」など、ギャンブルとは無縁のところでも人気を得ております。動物愛護の方には一家言あるかもしれませんが、経済動物の中でも恵まれた部類にいるとも言えるかもしれません。

ただ、競走馬の引退後のフォローについてはまだまだ多くの課題が残されている状況です。引退後の受け入れ先が現状では足りていないという状況は確かです。十分な受け入れ先があれば競走馬の生産にも好影響がある可能性は高く、競馬産業にとっても非常に重要な課題であると感じます。

そんな中、引退馬のセカンドキャリアを支援するため、今年の5月に「TCCセラピーパーク」がオープンしました。行き場のない引退競走馬を受け入れ、引退馬の一口オーナーを随時募集しながら、その馬に集まった口数で受け入れ可能な乗馬施設とマッチングしていきます。栗東トレセンから車でわずか10分と近く、引退馬の居場所としても非常に良い立地です。

現在はハリケーンバローズ、サトノサイベリー、アスールアラテラ、キラーサイクミレーの4頭が暮らしております。彼らはここが最終目的地ではなく、いずれも引退後の行き先が決まっておらず、一時避難施設となる「ホースシェルター」で現在暮らしている状況です。競走以外の選択肢を渡されたときに、どのようなセカンドキャリアを送るのか、適性に合う環境に移れるかというのは、転職を考える人間とさほど変わらないのかもしれませんね。

同パークは一般公募で月会費2000円のシェルターサポーターを募っており、彼らの生活費はそこから出されるシステムとなっています。現状では約110口の支援があり、サポーターにはシェルターエリアで触れ合うことや、日々の様子を動画で伺うことができたり、限定イベントへの参加も可能になっております。

施設滞在中の費用は飼料代など1頭につき月10万円ほど必要ということで、合計40万円には不足しており、ケガの治療代など突発的な出費も考えるともう少しかかるようです。特に繁殖の道が閉ざされたせん馬や、牡馬も種牡馬になれるのは一握りのため、引退後の競走馬は大半が華々しい道から逸れてしまいますが、反面ではスターで居続けるよりもファンにとって寄り添いやすい存在になってくれるとも言えるかもしれませんね。

参考:TCCセラピーパーク