【キーンランドC】レッドオーヴァルがいまだに重賞を勝てない"2つ"の理由とは?
サマースプリントシリーズ第5戦「第10回キーンランドカップ(G3)」が8/30に札幌で開催される。同レースは秋のスプリント王者を決めるスプリンターズステークス(G1)の前哨戦としても注目を集めるレースである。
先週の北九州記念(G3)では牝馬のベルカント(牝4)がアイビスサマーダッシュ(G3)に続く重賞2連勝を果たし、サマースプリントシリーズの第2戦であるCBC賞(G3)ではウリウリ(牝5)が優勝し、今夏も牝馬の活躍が目覚ましいかぎりである。
さて、今週もキーンランドカップに出走する1頭の牝馬が人気を集めている。
安田厩舎所属の牝馬、レッドオーヴァル(牝5)である。
レッドオーヴァルの通算戦績は20戦3勝、重賞戦に限ると14戦0勝。これまで桜花賞(G1)で2着、スプリンターズステークス(G1)で3着と、G1戦で健闘するもあと一歩及ばず敗れている。昨年のキーンランドカップにも出走しているが惜しくも2着に敗れている。そう、この馬はG1やG3で良績がありながら、未だ重賞未勝利なのである。
なぜ勝てない?2つの理由を推測
なぜレッドオーヴァルはここまで善戦しておきながら勝ち切れないのだろうか?これまでのレースを振り返ってみると、この馬の弱点がいくつか浮かび上がってくる。
一つは馬場が良馬場でないと能力が発揮できないという点である。2走前のCBC賞(G3)では重馬場に泣かされ16着と惨敗。稍重で開催された3走前の高松宮記念(G1)でも見せ場なく14着に敗れ、さらにその前の阪急杯(G3)でも不良馬場に泣かされ9着に敗れている。良馬場で開催された前走のUHB賞(OP)では3着に届いたが、近4走中3走は渋った馬場でのレースを走って惨敗している。勝ち切るには良馬場であることが大前提である必要がある。
そしてもう一つは、"器用さ"を持ち合わせていないため不完全燃焼で終わってしまうケースが多いということである。基本的に器用な動きができる馬ではないので、ペースが速くなると追走でいっぱいいっぱいになってしまい、うまくポジションを取れずに得意の差し脚が封印されて終わってしまうケースが多いのである。高松宮記念(G1)の時のようにある程度ペースが流れているレースでも、緩んだ時に動くことが出来ず、終始馬群に埋もれて最後まで前を向けずに終わってしまうのだ。
脚質的に後方からの競馬になるのは致し方ないことだ。しかし、差し馬なら最後の直線でその脚を活かすためのポジション取りが非常に重要になってくる。近走は持ち味が封印されて不完全燃焼で終わってしまったレースばかりである。
なんとかここを勝って賞金を重ね、秋のスプリンターズステークスに向けて気持よく駒を進めたいというのが現時点での目標である。陣営も1着を獲る気で仕上げてこないと秋へと望みを繋げられないという厳しい状況にある。
頼もしい騎手との新コンビ
しかし、今回は自分から積極的に動いていくスタイルの岩田康誠騎手がレッドオーヴァルの手綱を握る。岩田騎手に依頼していることからも今回の陣営の本気度が伝わってくる。岩田騎手は今夏重賞騎乗機会5連勝を達成し、まさに快調モード。そして"ポジション取り"に関して言えばプロ中のプロである。
超一級品の末脚を持ちながらそれを活かせず重賞未勝利のままで今日まできた馬レッドオーヴァルと、馬群を捌く事、直線では馬を追う事に長けている岩田騎手の新コンビは非常に楽しみなコンビとなりそうだ。