セレクトセールより庭先取引

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セレクトセールは馬主資格を持っていれば誰でも参加できるが、多くのオーナーが予算オーバーを連発する。その点、庭先取引は懇意にしている牧場と直に取引を行う為、競る相手もおらず、セレクトセールに比べると仔馬が安く買える。

キタサンブラックも庭先取引で購入された馬。生産牧場ヤナガワ牧場と大野商事(北島三郎さん)は長年の付き合いがある事から、庭先取引でキタサンブラックを購入した。キタサンブラックが大活躍した事で、ヤナガワ牧場と懇意の仲にしておきたい馬主も増えた。北島三郎さんが有名芸能人と言う事も多少は影響しているのも事実だが、継続的に購入している事の方がどちらかというと大きい。

馬主の中には同じ牧場で全て庭先取引でしか買わない馬主もいる。走っても走らなくても毎年馬を見に来てくれる。大きな牧場なら日常的だが中小の牧場では非常に有り難い存在。セレクトセールに出せば大きな値になる可能性もあるが、見向きもされず買い手がつかないまま主取りになるというケースももちろんある。これが1番困るので、少し金額を下げてでも安定して買って貰えるのは非常に助かる。

中小規模の個人牧場に取っては、庭先取引は毎年の恒例行事。特に規模が小さい個人牧場に取っては1頭の販売が非常に大きい。庭先取引は大きな牧場でも行われており、それなりの血統馬になると金額もかなり高くなり、大物馬主の独壇場になる。実際にいくらで購入しているかは窺い知ることはできないが、セレクトセールに出せば億を超える馬は少なくない。同等の金額を出して購入しているケースもあるだろうことは想像に難くない。自然豊かな牧草地の庭先取引と言えば聞こえは良いが、超高級車のディーラーも真っ青な金額が平然と動く。

我々にとっては一番身近なのがクラブ馬に買われる馬であることは変わりはない。最終的には一口いくら合計何口と言うかたちで明確に募集価格が出てくる。イコール購入価格ではないが、目安の何もない個人馬主の庭先取引よりは想像がつきやすい。