北朝鮮で競馬?!その驚くべき内容とこのタイミングでの賭博解禁の背景は?

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何かと北朝鮮のミサイル報道が多い今日このごろ。立て続けにミサイル発射実験を行い、世界を緊迫させている現在の北朝鮮ですが、15日、朝鮮中央通信社(KCNA)は北朝鮮・平壌近郊の乗馬クラブ「美林乗馬クラブ」で競馬が開催されたことを報道し伝えました。

慣れとは恐ろしいもので、最近はすっかり日常的となってしまった北朝鮮のミサイル発射報道ですが「北朝鮮で競馬」という報道には思わず「え?!」と声を出して反応してしまった筆者。競馬ファンとしては優秀な反応かもしれませんが、自身の危機感の無さに恥ずかしさを覚えます。

とは言え「北朝鮮」と「競馬」。この2つのキーワードが組み合わさるとは夢にも思いませんでしたので、個人的には非常に興味深いニュースです。報道によると12歳以上であれば馬券を購入することが可能で、人民元もしくは米ドルで購入できるということです。購入は12歳からという窓口の広さには驚かされましたが、多くの子供たちが立派な労働環境にあるとされる北朝鮮では特段驚くほどのことではないのかもしれません。

近年北朝鮮では国際マラソン大会を新設したり、観光ホテル建設への投資を呼び掛けたりと、外貨稼ぎの新たな方策を講じているような動きも目立ってきています。多くのメディアでは今回のこの競馬への参入も、外貨を獲得する方策の1つとして報じているところが多いですね。確かに、北朝鮮による挑発のエスカレートが続いた結果、国連安全保障理事会は石油精製品の輸出に上限を設けるなどの制裁を実施、アメリカも周りの国を使った独自の制裁を実施。これらの影響を考えると、外貨稼ぎに力をいれるのは自然な流れと言えるでしょう。

まぁ筆者はエコノミストでも経済ジャーナリストでもありませんので難しい話は専門家の方々にまかせるとして、話を北朝鮮の競馬に戻しましょう。「競馬」というレジャーは日本や英国ではもはやすでに古くから根付いている文化と言えますが、北朝鮮ではそもそも賭博行為は禁止されており、違反した場合3年間の強制労働が課されておりました。競馬が解禁されたということはこれも方針転換されたということになるのだと思われますが、急な賭博行為解禁に国民はどう反応するのか、果たしてビジネスとして成功するのかといった疑問が当然存在します。

現在日本ではカジノを合法化する「カジノ法案」の話題がよく取り上げられておりますが、10年以上すったもんだを繰り返した末にようやく2020年のオリンピックへ向けて話が進みつつあるわけです。競馬や競艇といった公営賭博は筆者が生まれる前から当たり前のようにありましたし、パチンコやパチスロといった法的にはグレーな立ち位置にあるギャンブルがごく身近にありました。そんな賭博には寛容な日本でさえ、カジノを合法化するのにこれだけ時間がかかっているわけです。

しかし、北朝鮮は3年間の強制労働という厳しい罰則が課せられていた賭博行為をあっさりと解禁し、あまつさえ「12歳からOKです」なんて言うのだから、いかにこの国が我々日本人の常識で計れる国ではないことが分かります。

肝心の北朝鮮競馬の内容についてですが、報道によって公開された動画ではゲートを出た芦毛の馬たちがダートコースを疾走している様子が流れ、観客とみられる人々がそれを観戦している様子が映し出されております。レースを走る競走馬のほとんどは白~芦毛の馬によって行われておりますが、これは北朝鮮では伝統的に白馬が金一族の支配のシンボルとして使用されてきたことが背景にあるからだと推測できます。競走馬はサラブレッドなのか、開催頻度はどれくらいなのかといった詳細は不明ですが、ゲートが開いてのそっとしたスタートをきる馬の様子を見る限り、他国の競馬と比べるとまだまだレースとしての完成度は低そうです。

様々な面で他国の競馬文化とかけ離れており、異彩を放つ北朝鮮競馬。国際情勢を考えたら国際規格を貰うといったことは考え難いですが、一競馬ファンとしては北朝鮮の競馬が今後どうなっていくのは非常に気になる次第でございます。いろいろな意味で目の離せない隣国となっています。