今週は秋の中距離G1を占う名物G2「オールカマー」が中山競馬場で開催。今年も多種多様なメンバーが出走する中、実績面で抜きん出ているのは2年前の三冠牝馬デアリングタクトだ。
大怪我からの復帰初戦であった今年のヴィクトリアマイルは6着に敗れたが、続く前走の宝塚記念では3着と巻き返しを果たしての参戦となる。
まずは初戦のヴィクトリアマイルから振り返ってみよう。レース当日の馬場は内が荒れており、好走馬のほとんどが直線で真ん中よりも外を選択していた。1枠1番からのスタートで終始内々を走らされたデアリングタクトにとっては厳しい競馬を強いられた。それでも終いはしっかり33秒台の脚を使って0秒5差の6着に伸びたのだから、次走に期待を抱かせる内容ではあった。
そして続く前走の宝塚記念では、中団外目で折り合い、3コーナー過ぎから進出。直線では大外から上がり2位の脚で伸びて、3着に食い込んだ。レースは1000m通過57秒6のハイペースで、その後も一切緩まず12秒前後のラップを刻む超持久力戦だった。デアリングタクト自身は瞬発力勝負も持久力勝負もできるタイプなので厳しい展開だったとは言えないが、復帰2戦目のソフトな調整ながら3着に食い込んだのは現役屈指の高い底力ゆえだろう。鮮やかな復活劇とまではいかなかったが、改めて力を示した一戦だったと言える。
そして秋初戦はオールカマー出走だ。中山の2200mは基本的にタフな消耗戦になりやすく、3~4コーナーから最後の直線、坂までのロングスパート戦となる傾向が強い。中山コースは初参戦となるが、例年の傾向を見る限り適性的には合っている。今回もクラシック最終戦へのトライアルということで実力馬が揃ってはいるが、通用しない相手ではない。
気になるのが状態面だが、2週前は栗東坂路で4F54.3-1F12.8、1週前は松山弘平騎手を背にCWコースで6F78.6-1F11.8の好時計をマークと、前走以上の時計を叩き出している。足元を気にすることなくしっかりと攻め馬もやれている様子で、完全復活へ向けて順調に調整は進んでいる印象を受ける。
骨のあるメンバーを相手にここを勝ちきることが出来れば、ようやく完全復活を果たしたと言えるだろう。三冠牝馬の復活勝利を期待したい。