【JRAアイビスSD予想】快速牝馬ピューロマジック、持ち前のスピードで押し切れるか?

日本唯一の直線競馬、夏の風物詩「アイビスサマーダッシュ」が7月28日に新潟競馬場で開催される。今年の出走予定馬の中でも特に注目されるのが、牝馬ピューロマジック(牝4、安田翔伍厩舎)だ。デビュー以来、圧倒的な先行力で数々のレースを支配してきた快速馬が、得意の逃げ戦法で国内重賞3勝目を狙う。
ピューロマジックは、昨年5月に重賞初制覇となる葵ステークスを制し、その勢いのまま北九州記念も勝利。スピードに任せた果敢な逃げで、2走前のシルクロードSまで10戦連続でハナを切るという圧巻の走りを見せた。ただ、スプリンターズステークス8着、シルクロードステークス9着と結果が伴わず、ドバイ遠征のアルクオーツスプリントでも5着と、重賞戦線で惜敗が続いている。
しかし、いずれの敗戦にも明確な理由がある。シルクロードSでは、馬場の外有利傾向に反して内ラチ沿いを逃げる形となり、自ら厳しい流れを作ってしまった。さらに開幕週の京都とはいえ馬場は外伸び傾向で、スピード馬には不利な展開だった。また、56.5キロの斤量も牝馬にとっては過酷で、脚が鈍った印象が強い。坂井騎手もレース後、「良い状態でしたが、馬場が乾いていれば」とコメントしており、敗因は明白だった。
続くドバイ遠征では、スタート直後に挟まれる不運がありながらも、0.4秒差の5着と健闘。道中では前の馬が故障した影響も受けながら、最後まで粘りを見せた。展開次第では上位進出も可能だった内容で、海外の強豪相手に能力の高さを証明した一戦だったと言える。
今回は約4か月ぶりの国内復帰戦となるが、舞台は極限のスピードが問われる新潟の芝1000m。スタートから一気に加速し、最後まで止まらないスピードが求められるこの舞台は、ピューロマジックにとってまさにベスト条件。外枠を引ければ、さらにその持ち味が生きる。
鞍上には当初予定されていた横山和生騎手が騎乗停止となったため、急遽C.ルメール騎手が騎乗することが決定。ルメールは意外にもこのアイビスサマーダッシュ初騎乗で、千直自体の経験もわずか3戦。ただ、いずれも上位に食い込んでおり、その手綱捌きに不安はない。何よりトップスピードの維持に長けたルメールとのコンビは、ピューロマジックにとって大きな武器となるはずだ。
国内での勝利からはしばらく遠ざかっているものの、そのスピード性能は依然として一級品。直線一気の千直舞台で、完全復活の狼煙を上げる準備は整っている。ピューロマジックがアイビスサマーダッシュで見せる走りに注目したい。

