中京競馬場では、サマーマイルシリーズ第3戦となる「中京記念」（G3、芝1600m）が開催される。今年の主役候補として注目を集めるのは、安田記念7着から巻き返しを狙うエコロヴァルツ（牡4歳、牧浦充徳厩舎）だ。

前走の安田記念は、絶好のスタートを切りながらも惜しい内容に終わった。スタート直後に控える選択をしたM.デムーロ騎手の判断により、外からジャンタルマンタルや外枠勢が一気に押し寄せ、最内発走のような不利を受ける形に。さらに道中では前をカットされ接触するアクシデントもあった。好発から「コース取りの権利」を得ながら自ら手放してしまった格好で、結果的に馬場の悪い部分を通るロスも重なった。レース後、同騎手は「いいスタートを切れたけど、不利があって下がってしまいました。この馬はごちゃつくのが好きではないですし、馬場の悪いところも通る形になってしまい、もったいなかった」と振り返ったが、展開と騎乗の噛み合わなさが悔やまれる一戦だった。

今回は坂井瑠星騎手との新コンビで挑む。マイルはやや短い印象もあるが、今回は逃げ馬の存在により平均ペース以上が見込まれ、高速馬場も味方する条件。安田記念ではスローペースの瞬発力勝負に持ち込まれて持ち味が生かせなかったが、今回は展開面での好転が期待できる。近走では気性面の改善も見られ、馬群の中でも折り合えるようになってきた。G1戦線でも展開ひとつで上位争いできる能力は示しており、ここでマイル適性を見限るのは早計だ。

また、今年から中京記念は別定戦となり、57キロでの出走が可能なのは大きなプラス材料。中山記念や大阪杯といったハイレベル戦を経験してきたアドバンテージもあり、今回のメンバー構成なら能力上位は明らかだ。秋の大舞台を見据える上でも賞金加算は必須であり、陣営の本気度は高い。条件が揃ったここは、確実に結果を残したい一戦となる。

エコロヴァルツが安田記念の悔しさを晴らし、秋へのステップとなる勝利を掴むのか。中京記念のゴール前で、その答えが明らかになる。