【JRA東京スポーツ杯2歳S2025】クラシックへ前進なるか?真価問われる良血ダノンヒストリー

東京競馬の月曜メインには、クラシックへの重要な登竜門として名高い「東京スポーツ杯2歳ステークス」が行われる。昨年の勝ち馬クロワデュノールはその後ホープフルS、さらに日本ダービーも制し、2歳王者から翌年のクラシック戦線を席巻した。素質馬が数多く集う同レースは、将来の大舞台を占う上で絶対に見逃せない一戦だ。
今年のメンバーで最も注目を集めるのが、セレクトセールで超高額取引となった大器ダノンヒストリーだ。父エピファネイア、母コーステッドという良血で、母はBCジュベナイルフィリーズターフの2着馬。半兄ダノンベルーガは共同通信杯を勝ち、中距離路線でトップクラスの実績を残す。半姉ボンドガールも秋華賞・2着と世代上位の実力馬であり、この一族のポテンシャルは折り紙付きだ。こうした背景から、昨年のセレクトセールでは税込4億円超という圧巻の価格で取引された。
6月のデビュー戦は今回と同じ東京芝1800m。レース前から評判は凄まじく、単勝1.2倍という圧倒的支持を集めた。スタートを決めると馬なりで先頭へ。直線でも脚色が衰えず、そのまま押し切って快勝。勝ち時計1分46秒8はクロワデュノールの新馬時計に迫るもので、同時期のダノンエアズロックやジオグリフを上回る優秀な数字である。ただし、後半5ハロンが57秒3だったクロワデュノールに比べ、59秒2と時計面では明確な差があることも事実で、過度な期待は禁物とも言えそうだ。
気性面の若さも懸念材料だ。エピファネイア産駒特有の前向きさが強いタイプで、デビュー戦で逃げたことが今後に影響しないかは気掛かりである。ただ、潜在能力が規格外であることは疑いようがなく、夏場を越してどれだけ成長しているかが注目点となるだろう。
1週前追い切りでは美浦Wコースで6ハロン81秒0―11秒9と上々の内容の追い切りを消化。堀調教師は「息が荒く仕上がりは遅れ気味」と語るが、それでも動きの迫力は十分で、能力の片鱗を見せている。引き続きD.レーン騎手とのコンビで挑む点も心強い。先週の武蔵野Sを勝って勢いに乗る“黄金タッグ”は、再び府中を沸かせる構えだ。
兄ダノンベルーガに続き、同じ東京芝1800mで重賞初制覇となるか。才能の片鱗を示してきたダノンヒストリーが、ここで一気にクラシック候補へ名乗りを上げる可能性は十分にあると見て注目したい。

