【帝王賞2026】いざ"完成形"へ、充実期を迎えたカゼノランナーは大井でも止まらないのか?
公開: 2026/06/29 15:09

春のダート王決定戦「帝王賞」。JRAと地方競馬のトップホースが激突する、まさに"帝王"を決めるにふさわしい国内ダート路線屈指の大一番だ。
今年も実績馬が揃った豪華メンバーとなったが、その中でも勢いという点で見逃せない存在が、前走の川崎記念を制したカゼノランナーだ。
前走は、この馬の充実ぶりを象徴する強い内容だった。スタートから積極的に促して先手を奪うと、1コーナーまでに理想的な隊列を形成。道中は自分のリズムで運び、3~4コーナーでドゥラエレーデに並びかけられる厳しい展開でも慌てることなく対応した。4コーナーでは再びリードを広げ、最後まで脚色を鈍らせず押し切る完勝劇。単なる展開利ではなく、自身の地力を証明した一戦であった。
近走で特に感じられる成長は、競馬の"幅の広さ"にある。以前は揉まれると力を発揮し切れない面があったが、最近は番手のインでも我慢が利くようになり、レース運びに柔軟性が生まれている。肉体面もひと回り成長し、ここまでコンスタントにレースを使いながら高いパフォーマンスを維持できているのは充実期に入った証。数々の実戦経験が、今まさに結果として表れ始めているのだろう。
状態面も引き続き好調だ。カゼノランナー自身もともと調教では目立つ時計を出すタイプではないが、今回の1週前追い切りでは6ハロン85秒5、ラスト1ハロン11秒7をマーク。派手な数字ではないものの、この馬本来の調教パターンを考えれば十分に動けており、状態面は前走以上と見ていいだろう。
かつては左回りや乾いた馬場が理想と言われていたが、その課題も徐々に克服してきた。右回りでも結果を残し、脚抜きの良い馬場にも対応。東京2100mでの大敗も、能力不足ではなく進路を失ったことが敗因であり、悲観する内容ではなかった。キャリアを重ねるごとに弱点を一つずつ克服してきた点は、高く評価すべき材料である。
もちろん、今回は川崎記念以上に相手関係が強化される。前走のように楽に逃げ切る展開を再現するのは容易ではないだろう。しかし、"逃げ一辺倒"の馬でもない。カゼノランナーは先行して折り合いをつける競馬もできるタイプの馬で、むしろ今回2枠2番と内枠を引けたことで無理なく好位を確保できる可能性が高い。サントノーレの存在でペースが流れれば、好位から鋭く抜け出すシナリオも十分に描けよう。
また、西村淳也騎手とのコンビも今や大きな武器である。松永トレーナーが「彼の中で何かを掴んでいるんでしょうね」と語るように、ここ数戦の騎乗内容は非常に安定している。馬の成長を引き出すエスコートが続いており、人馬の信頼関係も着実に深まっている印象をうける。
編集部が注目しているのは、「逃げ馬」から「自在型」へと進化しつつある点だ。近3戦の内容を見る限り、勝ちパターンが一つではなくなったことが、この馬最大の成長と言えるだろう。GⅠ級の能力に加え、レース運びの引き出しも増えた今なら、帝王賞でも十分に勝ち負けへ持ち込めるだけの力はあると見る。
一方で、大井2000mと川崎2100mは求められる適性が異なるコースであり、川崎で見せたパフォーマンスがそのまま再現される保証はないということも忘れてはならない。その点だけは冷静に見極めたい材料だ。
それでも、充実度、枠順、鞍上、そして近走内容を総合すれば、今年の帝王賞で最も信頼できる一頭であることは間違いなし。王者の座を掴む資格は十分に備わっているだけに、大井の長い直線でどのような決め手を見せるのか?慎重に見極めて馬券を組み立てたい。

