【JRA】クロワデュノールは放牧へ、ハナ差2cmの死闘を越えて
公開: 2026/05/05 16:53

天皇賞・春を制し、4つ目のG1タイトルを手にしたクロワデュノールは、今後に向けて一旦放牧へ出されることが決まった。5日、同馬を管理する斉藤調教師が明かした。
前走の天皇賞・春は、歴代でも3番目に速い3分13秒7という好時計で決着。レースは好位から自ら動く積極的な内容で、最後まで脚を使い切るタフな競馬だった。直線で早々に先頭へ立ち押し切り態勢に入るも、最後方から大外を強襲した同じキタサンブラック産駒ヴェルテンベルクが猛追。ゴール前では完全に馬体を並べる形となり、決着は写真判定へと持ち込まれた。
結果はわずかハナ差、距離にして2cmという紙一重の差。勝利した北村友一騎手でさえ確信を持てなかったほどの大接戦であり、「負けているかもしれないと思った」と振り返るほどの際どい勝負だった。まさに運とタイミングが勝敗を分けた一戦であった。
斉藤師も同様に「交わされたと思った」と語っており、陣営にとっても極限の緊張状態の中でつかんだ勝利だったことは間違いない。
クロワデュノールとヴェルテンベルクはともに名馬キタサンブラックの産駒。父は2016年、2017年と天皇賞・春を連覇し、2017年には大阪杯との連勝も達成している。クロワデュノールもまた大阪杯からの連勝で父の軌跡をなぞる形となり、その血統的ロマンを強く印象づけた。単なる接戦以上のドラマが存在した一戦であったと言えよう。
さらに、母ライジングクロスにも特筆すべき背景がある。2007年の天皇賞・春に唯一の外国調教馬として登録されながらも来日が叶わなかった過去を持つ。その無念から19年の時を経て、息子が同レースを制覇した事実は、競馬の巡り合わせの妙を象徴している。
激戦を制し、血統の物語をも背負って掴んだ今回の勝利は、単なるG1制覇以上の意味を持つものだ。放牧でしっかりと英気を養い、次なる舞台へ向けてどのような進化を見せるのか。クロワデュノールの今後から目が離せない。

