【日本ダービー2018予想】キタノコマンドール、出自はイロモノでも力はホンモノ
昨年新規参入を果たし、良血統馬のみを集めたクラブ法人ということで話題を集めたDMMドリームクラブの所有する馬で、キタノコマンドールもご多分に漏れず全姉にデニムアンドルビーを持つ血統馬であり、冠名のようにも見える「キタノ」は名付け親のビートたけしこと北野武氏の姓を戴いたものである。新規クラブに芸能人の名付け親と、イロモノの空気は漂うが、血統背景はしっかりしている上に、名前のコマンドールはフランス語で言う指揮官を意味する勲章を指す。フランスでの勲章と言えば先日是枝監督が「万引き家族」でパルムドールを受賞した。北野監督自身も幾度もノミネートされているが受賞には至っていない。日本競馬界の悲願と掛けたフランス語のネーミングだろうか、いずれにせよ名前に関してもお笑い抜きのガチンコであるようだ。
鳴り物入りでデビューしたキタノコマンドールだったが、一国の宰相になるよりも難しいと言われるダービー馬のオーナーになるための出走権は出自やコネで手に入れられるほど簡単なものではない。キタノコマンドールが実力で手に入れたものなのだ。まだこれまでに3戦しか走っていないものの、新馬戦では好位で折り合い、直線で上がり最速を記録し、楽々抜け出し勝利した。道中が超が付くほどのスローペースだったため、勝ち時計自体はかなり遅く、この段階ではまだイロモノ扱いは払拭出来ていなかったかもしれない。それが証拠に、二戦目のすみれステークスでは8頭立て中の3番人気というポジションに甘んじている。
ところがレースでは道中後方を進むと、直線で再び上がり最速で突き抜け難なく2連勝を果たした。この完勝によってキタノコマンドールも1頭のサラブレッドとしてしっかりとした評価を得たのである。そして駒を進めたのが牡馬三冠クラシック第一弾の皐月賞だ。ここでも三番人気に支持されている。当然すみれステークスの三番人気と皐月賞の三番人気ではわけが違う。
レースはスローペースの中を後方待機という不向きな展開で進むことになり5着に敗れてしまったが、最後の直線ではまたしても最速であがり、追い込みにかけては世代上位であることを改めて示した。また、今回が4戦目になるのはブラストワンピースと並んで最少戦績になる。伸び代という点では他馬よりも優位になっていると言えよう。
出自こそイロモノ扱いであったキタノコマンドールだが、走りを重ねる毎に評価をホンモノへと塗り替えていった。日本ダービーが終わったあとはどんな色になっているか楽しみだ。