【宝塚記念2016出走馬】サトノクラウン、G1の壁を破れるか
今の日本競馬界に無くてはならない存在、それはサンデーサイレンスの血。94年に初年度産駒がデビューするやいなや、瞬く間に日本の競馬血統地図を塗り替えた。あれから四半世紀も絶たずして、サンデーサイレンスの血を持たない馬を探す方が難しくなってしまったほどだ。
そんな現代日本競馬のアンチテーゼとも言えるのが、このサトノクラウンである。サトノクラウンはサンデーサイレンスの血を一滴も持っていない。その代わり、近年では珍しくなってしまった欧州血統で固められている異色の競走馬だ。しかしその能力は非常に高く、東京スポーツ杯2歳ステークスでは後方10番手から上がり33.8秒の脚でライバルを蹴散らし、一方では底力の要求される弥生賞で4番手から押し切ってみせた。皐月賞では不利もあって6着に負けたが、日本ダービーではきっちりと3着に入線も果たしている。
そんなサトノクラウンであるが、古馬になってさらに覚醒した感がある。今年緒戦の京都記念では、4角先頭から後続を千切り捨て3馬身差の圧勝。不良に近い重馬場であったが、ここでもサトノクラウンは難なくこれを克服したわけだ。
ところが、次に出走した香港のクイーンエリザベス2世ステークスでは、ぬかるんだ馬場に脚を取られて惨敗を喫してしまう。これでG1は4回走って3着1回で残りは着外。対照的にG1以外では4戦全勝なので、現状ではこれを克服するのが鍵となっている。
もっとも、以前までの宝塚記念は善戦ホースが初G1を戴冠するというレースという印象も強いかったので、そういった意味では宝塚記念に最も合っているキャラとも言える。個人的にはここで勝って種牡馬入りをしてもらい、サンデーサイレンス一色になりつつある現代日本競馬に一石を投じてもらいたいと思っているが果たして。