【天皇賞秋2025予想】タスティエーラは危険な人気馬か?香港見据えた叩き台の可能性も

前走のクイーンエリザベス2世カップを完勝し、改めて中距離戦線の主役として名乗りを上げたのがタスティエーラ(牡4、堀宣行厩舎)だ。スムーズに好位の4番手外を追走し、ペースが落ち着いた中でもリズム良く折り合い、向正面でリバティアイランドが動いたタイミングにも動じることなく余力十分。勝負所の4コーナーでは馬なりのまま先頭へ並びかけ、直線ではレーン騎手の軽いアクションに即座に反応して一気に加速。後続を寄せ付けず、最後は1馬身3/4差をつける完勝劇を演じた。プログノーシスら強豪を完封したその内容は、充実一途の成長を示すものだった。
昨年の天皇賞・秋では9番人気ながら2着に好走。当時はスローペースからの立ち回り勝負となり、前半1000mが63秒台、後半1000mが57.4秒という極端な展開。持ち味の末脚勝負ではなく、機動力と立ち回りのうまさを問われるレースとなったが、その中でも堂々と好走した姿は能力の高さを証明した一戦だった。夏場に大きく馬体を増やし、休養で心身ともにリフレッシュした成果が如実に表れた形だった。
そして、迎えた今季のクイーンエリザベス2世カップでは、まさに鬱憤を晴らすかのような圧勝劇。課題とされていた勝負どころでの反応の鈍さも完全に解消され、レーン騎手とのコンビで一段階上のギアを見せた。今回も引き続きレーン騎手とのコンビ継続となる点は心強く、順当に考えれば崩れるイメージは湧かない。
ただし、懸念材料があるとすれば「状態面」だ。最終追い切りは美浦ウッドで5歳オープンのジェイパームスと併せ馬。3馬身ほど追走して5ハロン65秒1―35秒7―11秒6をマークしたが、1馬身遅れてフィニッシュ。堀調教師は「以前の最も良い状態と比べると、しまいの400mで自分から動く感じが足りない。シャープさがやや物足りない」とコメントしており、万全の仕上がりではないことを示唆した。
帰厩時点で馬体重は535キロとやや余裕があり、23日時点で518キロまで絞れてはいるものの、香港カップを最大目標とした調整過程の可能性が高い。今回の一戦はあくまで叩き台という見方も少なくない。
昨年の2着馬であり、ダービー馬としての実績を考えれば、ここは当然人気を集める存在となる。しかし、万全とは言い切れない仕上がりを踏まえると、過信は禁物。真の狙いは次走・香港カップか。タスティエーラの真価が問われる秋の初陣となる。

