菊花賞トライアルの大一番「神戸新聞杯」がいよいよ開催される。注目の主役は、日本ダービー5着から参戦するエリキング（牡3、中内田充厩舎）だ。

日本ダービーではゲートが開く瞬間に首を下げて立ち遅れ。ハイペースを想定した有力馬たちが先行する中、流れは淀みない隊列決着となり、追い込み勢には厳しい展開だった。それでも直線では唯一といえる爆発的な末脚を披露。先行勢が上位を占める中で一頭だけ目を引く伸びを見せ、能力の高さを改めて示した。川田将雅騎手も「直線は素晴らしい走り。次につながるいいレースだった」と手応えを語る。

皐月賞では最内枠から馬群に揉まれ、スタート直後に外から寄せられる苦しい競馬。それでも最後まで脚を使い、続くダービーではジョバンニを逆転。トビが大きく加速に時間を要するタイプだけに、直線の長い東京外回りで上がり最速をマークした結果は必然だった。

阪神外回りに舞台が替わる神戸新聞杯は、エリキングにとって理想的な条件。川田騎手は皐月賞時に「舞台は良いとは言えない」と語っており、外回りでこそ持ち味が生きる。相手関係がダービーよりも一枚落ちる今回、叩き台の評価を差し引いても素質上位は明白だ。

新馬戦から手綱を取る川田騎手が「乗り味は一級品」と評する大器。順調な夏を越え、菊花賞を見据えた一戦で世代屈指の末脚が再び炸裂する可能性は高い。王道ローテーションを歩むエリキングが、菊花賞への扉を力強く押し開けるか。注目のレースが迫っている。