近代まれに見るハイレベルなオークス
違う世代間で、実際に競争が行われなかったカードでも、どちらのほうが強かった、という論争はよく競馬においては巻き起こります。どうしても仮定の話に成り立つため、答えのでない難解な話題かつ主張の強い人同士ではややこじれがちになりやすい話題でもありますが、牝馬の場合はさらに比較が難しいです。この議題においてよく、世代のレベルをはかる上で「古馬になってどうか」というのがあります。特に明け4歳になった1年が対象で評価されるイメージが強い。
ただ牝馬で古馬になると必然的に牡馬とぶつかるケースが増えてきます。牝馬限定「だと」強い馬、もいますし、エアグルーヴのようにむしろ「牡馬相手のほうが燃える」馬もいます。そういう意味で牡馬以上に世代の評価が難しいのが牝馬ではないかとわたしは思います。では世代の評価はどこですればいいのか。
牝馬には繁殖という仕事があります。そうか、生まれた仔がどのくらいの戦績を上げているかなら比較がしやすい、と考えました。そうした勝手な?理論で選ばれた世代を今日はご紹介しましょう。
2016年からさかのぼり過去10年。お母さんとなっても結果を出している世代は果たして何年なのか。結論から書くと、'05年だとわたしは考えました。理由はカンタンですし、見れば納得です。牝馬の頂点を決めるレースといえば桜花賞でもなく秋華賞でもなくオークスでしょう。府中の2400mというのはジャパンカップ、日本ダービーなどやはり重みがあるレースが組まれる舞台。では2005年のオークス上位組とは果たしてどんな牝馬だったのか。
着順 | 馬名 | 2016年3歳馬 |
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1着 | シーザリオ | 最優秀2歳牡馬のリオンディーズ |
2着 | エアメサイア | リオンディーズに惜しくも敗れたエアスピネル |
3着 | ディアデラノビア | 待望の大物ドレッドノータス |
クラシックでいずれも印がつく馬がすべてお母さんが同級生。なかなかここまで同一年に偏って有力な産駒が出てくる世代も珍しいです。となると気になるのは4着馬ですよね?ご紹介しましょう。エイシンテンダーです。前3頭に比べるとどうしても知名度で落ちる部分も否めませんが、血統背景は父エイシンサンディ、母エイシンララミー、というエイシン配合です。昨年はさらなるエイシン配合をすべくエイシンフラッシュを種付けしたところ残念ながら不受胎。
今年は因縁の(?)オークスで負けたシーザリオの息子エピファネイアをつける予定となっています。少々強引な見方をすればオークス1着馬と4着馬の配合という日本でも類をみない貴重な血統が誕生します。なかなか順調に繁殖生活を送れていないのが残念ですが、今年こそまずは無事に受胎してもらいたいですね。