土曜の東京メインは芝1600mで行われる2歳牝馬限定のG3「アルテミスステークス」だ。今年は10頭と少頭数ながら、来春のクラシック戦線を占う上で見逃せない一戦となっている。

過去にはリスグラシュー、ラッキーライラック、ソダシ、そして昨年のチェルヴィニアなど、後にG1戦線で活躍する名牝を数多く輩出してきた。いわば“未来の女王”を占う登竜門。第14回目となる今年も、その系譜を継ぐ逸材が登場する。

注目は栗東・須貝尚介厩舎が送り出すマルガだ。父モーリス、母ブチコ、そして姉はあのソダシという超良血。しかも姉と同じく白毛という華やかな存在でもあり、注目度は群を抜いている。デビュー戦は7月の函館芝1800m戦。武豊騎手を背に果敢にハナを切ると、最後まで脚色は衰えず、2着馬に3馬身差をつける完勝劇。新馬戦としては異例の完成度を見せた。今回は舞台を東京マイルに移すが、引き続き武騎手とのコンビで挑む。姉譲りの勝負根性を武器に連勝で重賞制覇を狙う。

同じく前走で強さを見せた逃げ馬としてジョーカプチーノ産駒のハッピーエンジェルも注目の存在だ。美浦・伊藤圭三厩舎所属の同馬は、デビュー戦、続くダリア賞をともに三浦皇成騎手とのコンビで連勝。前半から主導権を握り、押し切るスピードが最大の魅力だ。東京の長い直線でもしっかりと粘り込める展開になれば、重賞3連勝の可能性も十分ある。

さらに、実績面で筆頭に挙げられるのがインディチャンプ産駒のタイセイボーグ。デビューから3戦すべてで連対中と安定感抜群で、前走の新潟2歳ステークスでは牡馬を相手に2着と健闘した。今回は佐々木大輔騎手が新たに手綱を取る予定で、自在に動ける脚質を生かせれば、重賞初制覇も狙える位置にある。

また、今年のアルテミスステークスは逃げ・先行タイプが多く、序盤からのペース争いが鍵を握る。展開ひとつで主導権を握る馬がそのまま押し切るか、あるいは差し馬が台頭するか、レースの流れが勝負を分けそうだ。

来春の桜花賞、そしてオークスへと続く2歳牝馬戦線。その中で今年のアルテミスステークスが“新たなヒロイン誕生の舞台”となるのは間違いない。