4歳年度代表馬にとって受難の5歳シーズン
今シーズンのキタサンブラックは過去の年度代表馬との争いでもあった。過去20年、4歳で年度代表馬となり、5歳シーズンも現役を続けた馬はエアグルーヴ・テイエムオペラオー・ゼンノロブロイ・ウオッカ・ブエナビスタ・モーリスの6頭となるが、4歳時より5歳時の戦績のほうがよかったのはウオッカ1頭だけとなる。ただ、ウオッカ4歳時の戦績は近20年の年度代表馬では最も勝率の低いものだった。
モーリスはクラシックには出られず、転厩し4歳から急激に頭角を現した馬だったが、2歳や3歳春からトップランナーとして世代や競馬界を牽引してきた馬が、5歳シーズンで更にパフォーマンスを上げるというのは基本的には難しい。
キタサンブラックも昨年の有馬記念で最強世代とも言われた現4歳世代に世代交代を告げられるように敗れ、難しい5歳シーズンになるのではないかと予想していたが、予想に反し5歳初戦の大阪杯を楽勝し、続く天皇賞春では有馬記念の借りを返し、2戦とも5歳で更にパフォーマンスを上げている印象を受けた。デビューが3歳と遅かったため5歳になってもパフォーマンスを上げられるのかとも考えたが、5歳シーズン未勝利に終わったゼンノロブロイも3歳デビューの馬だった。
普通であれば負ける要素はないかに思われた宝塚記念だったが、今までGⅠ5勝を挙げた状況とは異なる枠順・馬場・展開もあってか大敗を喫し、やはり難しい5歳シーズンになるのか、枠順・馬場・展開など条件が揃わない場合にどうか、という状況で5歳秋を迎えることとなった。
キタサンブラックは今シーズン既に2勝を挙げているが、前記した6頭の年度代表馬で5歳シーズン3勝以上挙げた馬はウオッカとモーリスの2頭となる。
秋の古馬中長距離路線ということで言えば、エアグルーヴ・テイエムオペラオー・ゼンノロブロイは秋GⅠ未勝利、ウオッカ・ブエナビスタはジャパンカップの1勝、モーリスは天皇賞秋のあと香港カップを勝っているが、国内に限れば1勝になる。ちなみに3歳と5歳で年度代表馬となったジェンティルドンナも5歳シーズンの秋3戦は有馬記念の1勝だった。
また、上半期で2勝した馬はウオッカとキタサンブラックだけで、上半期・下半期いずれも2勝以上した場合にはキタサンブラックが初となる。過去の年度代表馬を超える成績を残せるか注目の秋初戦でありラストシーズンとなる。