【スプリングS2016回顧】本番へ向けて伏兵も揃った気配有り
日曜日の中山競馬場では皐月賞トライアルのスプリングステークス(G2)が開催された。この日の中山の芝状態はメインのスプリングステークスこそ良馬場に回復して行われたが、9レースの幕張特別(4歳以上1600万下 芝1600)までは稍重でありパンパンの良馬場ではなく少し時計のかかる状態。
8レースに行われた芝2000メートルの古馬1000万条件は、前半800メートル・47.7、1000メートル・59.6の通過タイム。メインのスプリングステークスが前半800メートル・48.3、1000メートル・60.3。
稍重であり、距離が1ハロン長い1000万条件のほうがペースは速いぐらいだから、厳しい流れでもなく平均ペース。各馬、道中のペースに関しては不利もない競馬だったのではないだろうか。
1着・マウントロブソンは、1:48.1の時計でこの流れを4番手から抜け出してきた。スタートしてすぐに鞍上のシュタルケ騎手が出ムチをくれていた。
ゲートを出て、最初の1完歩目がダッシュがつかないタイプであり、おそらくこの日は前目で競馬をしたかったという思いがあったのかもしれない。前走のあすなろ賞(3歳500万 芝2000)もスタートしてすぐに後方の位置取りになっていた。
こういうタイプだから折り合い面に関しては全くの問題なしで直線に入ると、坂下までは前の馬に届かないのではという手応えであったが1完歩ずつ逃げたマイネルハニーとの差を詰め、最後の最後で捕まえた。切れるというよりも長く良い脚を使うタイプ。これで未勝利からの3連勝で初の重賞タイトル。
父・ディープインパクト、母・ミスパスカリ、母父・Mr.Greeleyという血統。父のディープインパクトはこれで産駒が7週連続の重賞勝ち。厩舎はドゥラメンテやモーリスがいる美浦・堀宣行厩舎であり、馬主はマカヒキの金子真人ホールディングス。生産牧場はノーザンファーム。
マウントロブソンも連勝中と人も馬も勢いがあったのも勝因のひとつだろう。いささか、今年の超ハイレベルといわれている3歳牡馬クラシック戦線では、これで本命とはすぐにはいえないものの、4戦3勝という綺麗な戦績の馬がまたこれで1頭増えた。
2着・マイネルハニーもこの馬らしい逃げで最後までよく粘っていた。今回は時計が少しかかったのも、この馬にとってはよかったかもしれない。7馬身差や4馬身差など勝つ時はインパクトがある勝ち方をする馬だが、全体的に時計がかかった時に圧勝しており、今後は時計勝負になった時に注目してみたい。軽快な逃げで今年の3歳路線を賑わしてもらいたいところである。
3着・ロードクエストはゲートは互角に出たが、すぐに後方の位置取りに。折り合いは特に問題なしであった。直線も外を通って最後までよく伸びている。
着差はマウントロブソンからクビ、クビという競馬。普通の馬であれば、良い競馬をしたねとなるところだが、ロードクエストだからこれではまだ物足りないという方もいるかもしれない。
2着、3着に敗れたホープフルステークス(G2)と今回の競馬はそれぞれ間隔が開いての休み明け。このレースを叩いた次走でロードクエストの本当の力がわかるかもしれない。
最も新潟の左回り平坦コースで爆発的な末脚を繰り出した馬だから、求められる適性能力が違う中山は向いていない可能性もある。皐月賞を仮に惨敗したとしても、その後の東京開催のNHKマイルカップ(G1)や日本ダービー(G1)に出走してきたら適性も含めて少し注目してみたい。
2番人気5着のミッキーロケットは綺麗な出遅れ。直線は大外を回ったロードクエストと違い馬群の中を割って最後まで差を詰めていた。大きな不利がありながら、勝ったマウントロブソンとのタイム差はわずかコンマ3秒差。次が楽しみな馬だ。
3番人気7着のドレッドノータスは、昨年の京都2歳ステークス(G3)1着以来の3ヶ月半の休み明け。休養明けの不利はあったが、この先を見据えるのであればもう少し際どい競馬をしてほしかったというのが本音かもしれない。
本番に向けては1枚下のグループになりそうだが、このレースを叩いてどこまで上積みが見込めるかに注目。
この日のグループは既に最有力と目されている、サトノダイヤモンドやマカヒキ、リオンディーズにどこまで迫れるかに期待してみたい。
トライアルのように少頭数ではなく、本番はフルゲートも予想されゴチャつく可能性もあるため、直線が短い中山2000であれば特大の1発が決まる可能性も残されている。
伏兵も揃った感じであり、最高のクラシックが幕を開けそうな感じである