【レパードS予想2025】能力上位も初ダートは未知数!弥生賞2着馬ヴィンセンシオ、砂の頂を狙う

8月10日に新潟競馬場で行われるダート1800mの3歳限定重賞・レパードSに、芝の重賞実績馬ヴィンセンシオ(牡3、黒岩陽一厩舎)が出走を予定している。
同馬の実力を証明したのは、何といっても弥生賞での走りだ。スタートから出脚を生かしてハナを奪うと、中山芝2000mでは“逃げ不利”とされるなかで主導権を握った。2ハロン目に10.9秒という厳しいラップを刻みつつ、その後はペースを緩めて息を入れる、実に巧みな逃げを披露。後半は動いてきたファウストラーゼンにも動じず、落ち着いたレース運びで2着を確保した。逃げの手に出たルメール騎手の判断、そしてそれに応えたヴィンセンシオの地力は高く評価されるべき内容だった。
一方、前走の皐月賞では9着に敗退。不本意な結果に終わったが、その背景には序盤の大きな不利があった。1コーナーへ向かう途中で複数の馬が接触するアクシデントに巻き込まれ、自身も何度もぶつけられる展開に。さらに、内が伸びづらい外差し馬場にもかかわらず、ポジションを取れずに内を突くしかない苦しい競馬となった。ルメール騎手は「リズムが作れず、ポジションも取れなかった。変な競馬になってしまった」と悔しさをにじませており、力を出し切れなかった印象が強い。
それでも、芝中距離のクラシック戦線で堂々と戦ってきた経験と実績は、今回のメンバー構成においても上位評価に値する。ただし、今回はキャリア初のダート戦。これが最大の懸念材料となる。
父リアルスティールはダート重賞馬を複数輩出しており、一定のダート適性を伝える可能性はある。しかし、母系には芝の名牝シーザリオの血が流れており、パワーよりも切れ味に寄った体質を感じさせる。弥生賞で稍重の馬場を苦にしなかった点は参考になるが、あくまで芝ベースの話であり、ダートに直結する材料とは言い切れない。
新馬戦ではスローながらも鋭く抜け出し、弥生賞では逃げて粘るスタイルと、展開に応じた多彩な立ち回りが可能な点は強み。加えて、レコード勝ちを収めた馬が多く出ている近年のレパードSの傾向からも、スピード能力を持つ芝馬の一変がしばしば見られることは後押し材料となる。
人気を集めるのは必至の存在だが、未知のダート適性にすべてを託すにはリスクも伴う。地力で押し切るか、それとも適性に泣くか。真価が問われる一戦となる。

