人気のない馬に乗った時騎手は何を考えるのか?
近走はずっと2桁着順続きで全く良いところがない。所謂、昇級して頭打ちになってしまった状態。競走馬もこうなってくると1流騎手が騎乗する機会はどんどん減っていく。条件戦で平場なら減量騎手を積極的に使う厩舎も多い。果たして人気もなく、能力的にも頭打ち、お世辞にも勝機があるとはいえない、そんな馬に乗る時ジョッキーはどう思うのか?一か八かの賭けに出るジョッキーもいる。逃げる馬がいなかったら、果敢にハナを叩き主導権を握る。思ったよりもリードを広げることが出来たまま直線に入ってしまい、人気馬の追撃にも影も踏ませぬ逃亡劇に出る事もある。普通に乗れば負けて当たり前なので、一か八かの作戦に出るのだ。
こういった人気薄の馬がこの様な奇襲戦法で勝つ事は珍しい事ではない。実際に減量騎手が単勝万馬券の馬を持って来る事は多い。しかも、頭でくるので三連単の配当も一気に跳ね上がる。流石に1着は・・・と誰もが思っている所に直線ズドン。これは見ている側からすると非常に痛快だが、別の馬券を握っている人にしてみたら堪ったものではない。正に阿鼻叫喚だ。
奇襲戦法としてはマクリも有効な手段。ズブイ馬には中距離のダート戦では有効だ。そのまま一気に押し切ってしまうのが最高の形と言える。後は死んだふり作戦。全くやる気がないと見せかけて直線一気にすべてをかける。調教師から特に指示がなければ、ジョッキーの思い通りの競馬をすることができる。指示がないためプレッシャーは少ないが、人気薄の馬でも勝ち負けになれるように騎手自身で色々考えて騎乗をする。勝てなくて当たり前とは言え、その精神的負担は人気馬同様に決して気楽なものではない。