【ジャパンC予想2025】2400mはむしろ歓迎?マスカレードボール、距離適性を巡る試金石

前走の天皇賞・秋を制して勢いに乗るマスカレードボールが、いよいよジャパンカップへ駒を進める。天皇賞ではスタート直後に外から寄られる不利を受け、ルメール騎手が激怒する場面もあったが、すぐに好位を確保し冷静に立て直した。超スローペースの団子状態というストレスのかかる展開でも馬をなだめ、タスティエーラの動き出しに合わせてロスなく進路を確保。直線では自然と前が開き、強烈な加速ラップ10.9-10.9-11.1を余力十分で踏破した。東京ワンターンで見せる独特の加速性能こそ、この馬の最大の武器と言えそうだ。
レース後、ルメール騎手は「タスティエーラをうまくマークできて、最後も素晴らしい加速でした。ただ、この馬はまだ甘いところがあります。秋に成長して強くなりましたし、来年はさらにトップレベルで戦えると思います」と手応えを語った。斤量差を考慮しても完勝と言える内容で、ドゥラメンテ産駒らしい爆発力が存分に発揮された一戦だった。
天皇賞後は山元トレセンで英気を養い、13日に美浦へ帰厩。1週前追い切りでは美浦Wで3頭併せを行い、6F82.0-37.3-11.3を計時。手塚師は「一回使って張りが出てきたし、肉体面の上積みは見込める」と順調さを強調した。一方で不安材料として“距離”を挙げ、「東京の二千は絶対に合うと思っていた。ジャパンCは条件が良いとは言えないし、ゲートや返し馬など負担が増えるのはマイナス」と慎重な姿勢も見せている。しかし、ルメール騎手は「2400mの方が合う」「勝つ自信があります」と強気のコメントを残しており、名手の確信が期待感を一気に高めている。
東京2400mはダービーで2着と好走した舞台。あのレースでは馬場回復により絶対的なスピードが求められ、紛れのない地力勝負となるラップ構成を先行勢に不利な大外枠からしぶとく追い込み、勝ったクロワデュノールに迫る走りを見せた。坂井騎手も「折り合いはスムーズで、最後はしっかり脚を使ってくれた」と高評価している。距離ロスを最小限に抑える操縦性と、直線での爆発的な末脚は、今回の条件にも確実につながる。
そして何より大きな見どころは、ダービーで敗れたクロワデュノールとの再戦だ。同じ東京2400mで再び激突する構図は、今年のジャパンカップ最大の注目材料と言える。成長著しいマスカレードボールが、三度目のG1タイトルと“ダービーの雪辱”をかけて挑む舞台。秋の主役がどのような走りを見せるのか。本番が待ち遠しい。

